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自然環境の保護・復元に力を入れ:「ネット・ゼロ」の国を目指すUK (BBC-News, May 18, 2021)

Red squirrel

 「ロビン・フッド」の舞台となった「シャーウッドの森」(約423ha)は、現在「Royal forest(王室の森)」であり、「National Native Reserve (国立自然保護区)」。

 しかし、かって、その森の広さは、現在の約18倍と広大で、Nottinghamshire (ノッティンガムシャー)」のおよそ1/4の面積 (7,800ha)を占めていた。それが、産業革命時代、石炭を掘り出すために森の木が大量に切り倒されたのだ。UKの他の地の森も、同じような運命をたどった。

 

 こうして、UKの森林、自然は破壊され、そこに住んでいた野生動物はエサ場を失い、すみかを失って、今ではUKに生息する「native mammals (原生種の哺乳動物)」の 約1/4が絶滅の危機に瀕しているという。

 

 危機感を抱いたUK政府は、ようやく、その重い腰を上げて、自然環境の改善計画の実行に踏み切った。

 Englandに木を植え、ピート地帯を保護し、「wildcats (ヨーロッパ・ヤマネコ)」や「beavers (ビーバー)」などが再び姿を現わすことができるように、自然環境を 大幅に改善する計画だ。Curlew

 森林面積については、1903年に比べて、2019年の段階で約3倍に増えたものの、その増加分のほとんどは、「low diversity forestry plantations (多様性の低い林業プランターション)」の森。そんな商業目的の針葉樹プランテーションは、一部の人間に利益をもたらすものの、野生動物にとっても生物多様性 (biodiversity)にとっても、居心地のわるい空間になる。

 

 このためUK政府は、今後、「naive trees (在来種の木々)」を毎年7,000haにわたって植林し、2050年までに、森林面積を国土全体の 17%にする計画だ。(なお、ヨーロッパ全土(UKを除く)の森林面積率は約35%。)

 さらに「degraded peatlands (荒廃したピート地帯)」35,000haを元の自然な状態に戻す。この計画の履行のためには、資金援助を惜しまない。Black Lake peat bog in Delamere Forest has been restored - a project that has taken 20 years

 この自然環境整備の大義名分は、野生動物の保護もさることながら、CO2を吸収する緑の森を増やし、「carbon sequstration (炭素の封じ込め)」機能を果たしている「peatlands」の保存に力をいれて、温室効果ガスの排出を「実質ゼロ (net zero)」にすることだ。

 

おわりに:地面に種を撒(ま)き、木を植えて「nature (自然)」を復元するという。しかし、あまりに事を性急に進めると、思わぬ落とし穴に気がつかないものだ。

                                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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