『みつばちマーヤ(Maya)がこの世に生まれたのは、その国で反乱が勃発し、女王がこの反乱を制圧できなくなった日のことだった。』
ドイツの作家「 Wadermar Bonsels (ワルデマル・ボンゼルス[1881-1952])」が、1912年に出版した「Die Biene Maja und ihre Abentures」、英訳「The Adventures of Maya The Bee(みつばちマーヤの冒険)」は、こんな内容で始まる。
1912年のヨーロッパと言えば、まさに第一次世界大戦WW1 (1914--1918)が始まろうとしていた矢先だ。およそ120年前のことになる。
手元のペーパーバック版 (Avon Books, 1967) の表紙には
・ONE OF THE BEST-LOVED AND MOST CAPTIVATING NATURE NOVELS OF ALL TIME
[ いつの時代にも、もっとも愛読され、もっとも魅了される自然小説の一つ]
とある。
しかし、少なくとも、最初の数ページを読むのには忍耐がいる。英訳の文章のせいか、ちっとも「captivating (魅了)」されないのだ。むしろ、「Maya」ではないが、その国(本)から抜け出したくなる。
さて、5月20日は「World Bee Day (世界ミツバチの日)」。「子どもの日」、「敬老の日」などと同様、少しは、その日の主役に敬意を払うべきだろう。ただし、子どもや老人はともかくも、ミツバチが「ありがたい」と感謝されるのには、それなりの理由がある。
地球上の食糧の1/3はミツバチの受粉 (pollination)の賜物(たまもの)だ。それに、栄養豊富なハチミツまで人類に提供してくれる。
そのハチミツ1ポンド (0.4536kg)をつくるのに要する、ミツバチの総 飛行距離は約55,000マイル (約88,000km)。
こんなに働きもののミツバチが、
・habitat loss:生息地(野花の咲く牧草地など)の消失
・climate change:気候変動
・toxic pesticide:農薬
・disease:感染症
などが災いし、ヨーロッパの野生ミツバチ種の約 1/3は絶滅の瀬戸際に立たされている。
ミツバチに優しいあなたなら、きっと、こんな庭をつくるはずだ。
1.Plant bee-friendly flower:ミツバチに優しい花を植えよう
花壇に植える花に、心配りが欲しい。チューリップの花のように、色はきれいでも、すぐに散ってしまうものや、ダリア、クレマチスのように花粉の少ないもの、つまりは、「ornamental hybrids or culvars (鑑賞種あるいは鑑賞交雑種)」は避けて、替わりに
・lavender:ラベンダー
・alliums:アリウム
・honeysuckle:スイカズラ
・heather:ヒース
・buddleya:フジウツギ
・foxgloves:ジギタリス
・snapdragons:キンギョソウ
2.Plant through the seasons:季節ごとに咲く花を
花はすぐに散ってしまう。だから、季節ごとに咲く花を植えると、ミツバチにとっては嬉しい限り。広い庭をお持ちなら、こんな木が望ましい。
・hazel:ハシバミの木
・holly:ヒイラギ
・pussy willow:ネコヤナギ
・ivy:セイヨウキヅタ
3.Grow fruit, vegetables and herbs:フルーツ、野菜、ハーブを育てる
花の咲く植物が庭にあると、ミツバチは大助かり。
①野菜:
・runner and broad beans:サヤインゲンとソラマメ
・aubergines:ナスビ
・onions:タマネギ
・peppers:ピーマン
②フルーツ:
・apples
・pears
・plums
・blackberries
・strawberries
・raspberries
③ハーブ:
・thyme:タイム
・rosemary:ローズマリー
4.Put up a bee hotel
単独で行動する「solitary bees (ハキリバチの仲間)」には、庭の片隅にシェルターをつくってやる。短めの細竹やアシを束ねて壁に吊るすと、ミツバチにとっては居心地の良いホテルになる。
5.Have a hive in your garden
さらにスペースに余裕がある人は、養蜂家に協力し、1, 2個の巣箱を置かせてやっても良い。
6.Don't cut your lawn as often
野草が花を付ける前に芝刈りを徹底し、庭に手を入れ過ぎると、ミツバチが寄りつけなくなってしまう。せめて、芝刈りは夕方にする。
7.Avoid pesticides:殺虫剤はほどほどに
できるだけ、殺虫剤の使用は避ける。
おわりに:ミツバチがチャイブ、ラベンダー、ローズマリーなどの周りを飛び回る風景には、自然の平和、世界の平和を感じる。できるだけ、庭にハーブを植えて、ミツバチを歓迎したいものだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)