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コロナ予防・治療の「ニセ薬」:インチキ、したたかインド商法! (BBC-News, Dec 19, 2020)

Coronil and Swasari tablets

 UKでは 1日当たり約55,000人が新型コロナCovid-19に感染し、454人が死亡、累計の死亡者数は75,024人に達した (2021年1月3日現在)。ワクチン接種が始まったとは言え、Covid-19ウイルスが、猛威を振るっていることに変わりはない。世界中の誰もが、この疫病神、災難が一刻でも早く地球上から立ち去ることを願っている。

 

 こんな苦境のさなかに、まったく根も葉もない「インチキ薬 (fake medicines)」をでっち上げ、それで金儲けをたくらむなど、人間として許しがたい行為だ。

 

 UKの首都 London、それもアジア系住民が多く住む地区で、こともあろうに、コロナ感染の予防、治療に効果があるとの触れ込みで、「immunity booster (免疫強化剤)」と称する「Coronil」が不法販売された。

 売り出したのは、インドの製薬会社「Patanjali Ayurved (パタンジャリ・アイユヴェイド)」。その会社いわく、『この薬は免疫力 (immune system)を高めて、「respiratory tract infections (気道炎症)」を予防し、Covid-19の感染予防とその治癒効果が期待できる。』

 

 なお、この6月、会社の創設者の1人 Baba Ramdeyは、薬の効果を次のように主張していた。

『コロナ感染者が、我が社の治療薬「Coronil」を服用すると、その69%が 3日で完治して、(PCR検査で)陰性となり、7日も経過すると100%の患者が完治するという結果を得ている。』

 

 こんなことを無責任に言い立てる「インド人にビックリ」。医学的な治療効果を証明するためには、詳細な臨床試験結果なるものが、複数の権威ある医学雑誌に掲載され、学会から認められる必要がある。

 さらに、新薬を製造、販売するとなれば、当局の厳密な検査を受けて、正式な認可を得ることが欠かせない。人の命、健康に関わる薬の製造・販売は、厳格にも厳格を重ねて、どんなに些細なミスであっても許されないからだ。

 

 ところが、Birmingham大学の Dr Maitreyi Shivkumarらの研究チームが、このコロナ治療薬「Coronil」を調べたところ、コロナ感染の予防・治療に関しては何の医学的効果もないことが判明。「Coronil」の中身は、ただの「plant-based ingredients (植物由来成分)」だった。

 

 なお、イギリスと言えども、医薬品の原料については「The Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (英国医薬品・医療製品規制庁 MHRA)」の承認が必要であり、「Coronil」を免疫強化剤として宣伝することも「The Advertising Standards Authority (広告基準局 ASA)」の規制対象となる

 

 当局は、BBCの告発を受けて、インド製「コロナニセ薬」の取締に動く構えだ。

 

おわりに:他人の不幸、弱みにつけこんだ悪事・悪業には2重の罪がある。法を犯した「犯罪 (crime)」と、「道徳上の罪 (sin)」だ。「藁(わら)にもすがりたい」気持ちの高齢者に、「免疫強化剤」と騙(だま)して「ニセ薬」を売りつけるなど、その悪質さは、まるで「火事場泥棒」、「オレオレ詐欺」と同じようなものではないか。

   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com