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海のユニコーンは摩訶不思議:驚くと心拍数を下げる! (BBC-Science & Environment, December 7, 2017)

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/89CF/production/_99097253_mediaitem99097251.jpg

 人は恐怖に襲われると心拍数が上がり、血圧が下がる。しかし、同じ哺乳類でありながら、「海の一角獣 (unicorn of the sea)」の「narwhale (イッカク)」は全くちがった[生理学的な反応 (physioligical response)」を示す。

 そもそもイッカクは北極海の氷の隙間でひっそりと生き続け来たクジラの仲間。そのオスは、長く鋭い剣のように発達させた牙を頭の上にかざして泳ぐ。クジラと同様に、潜水が得意で、深さ 1,000mを越える深海まで潜ることができる。

長い間、静寂そのものだった北極海が、近年、にわかに騒々しくなった。原因は温暖化に伴って北極海の氷が少なくなり、北極圏を航行する船が多くなったこと。それに石油・ガス開発の探査・ボーリング作業船が増えたことにある。

 California大学の Dr Terrie Williamsらの研究グループは、イッカクの背中に「satellite tags (衛星追跡タグ)」を装着して、その生態を調査した。タグには人口衛星から観測できる心拍計、深度計、加速度計などが取り付けられている。
 そのデータを分析した結果、驚くべきことが分かった。
 イッカクが体を休めているときの心拍数は、人間とほぼ同じで 1分間に約 60。ところが、北極海を行き交う船やボーリング作業で驚かされると、心拍数は急速に下がり 3-4になる。これは、15-20 秒置きに心臓がドックン、ドックンと鼓動する状態だ。しかも、この状態で、イッカクは全速で逃げる。

"If animals are moving quickly to escape a threat, but their rate is very low, this could deprive their brain of oxygen and leave them disorientated."
"Long periods of this blood flow and reduced oxygen supply to the brain mihgt even cause permanet damage."

[ 恐怖から逃れようとイッカクの体は急に動く。しかし、心拍数は極めて小さい。これでは、脳に十分な酸素が送れなくなり、方向感覚を失ってしまう。]
[ このゆっくりした血液の流れが長時間続くと、脳に送られる酸素供給量が不足し、永久的な脳組織の損傷さえ招きかねない。] 

 氷が少なくなった北極海に、人間が競い合って入り込んでは騒ぎ立て、謎を秘めたイッカクも怯えた生活を余儀なくされるようになったのは確かだ。しかし、イッカクがなぜ、血流を抑えて、全速で逃げようとするのかは、依然、不明。

   なお、研究の詳細は科学雑誌「Science」に発表された。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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