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氷山で寝過ごした「北極セイウチ」:流されてIrelandに漂着 (RTE-News, March 14, 2021)

it is believed that the walrus is quite young as his tusks are only 30 centimetres or so long (Pics: Alan Houlihan)

 その昔、船乗りが遠く、北の海に出かけて、見知らぬ生き物を目にし、それを記録に留める際に、ほとほと困ったに違いない。その不思議な海の動物の一つが「walrus (セイウチ)」だった。

 英語「walrus」の語源はオランダ語の「walvis」。それは「whale」と「ros」(horseの意)の合成語だ。このため、古英語では「walrus (セイウチ)」を「horsewhale (馬のようなクジラ)」と言った。

 

 セイウチは「seals (アザラシ)」や「sea-lions (アシカ)」と極めて近い親戚関係にある。

 

 その「Arctic walrus (北極セイウチ)」が、Ireland南西に浮かぶ「Valemtia Island (ヴァレンティア島)」に現われた。

 Muireann (ミュアアン)ちゃん (5歳)が父親 Mr Alan Houlihanと一緒に海岸を歩いていると、突然、何かが海面から飛び跳ねて、近くの岩の上によじ登った。その女の子は、「Glanteam beach (グランティーム・ビーチ)」でよく見かける「seal (アザラシ)」かと思ったそうだ。しかし、お父さんには、それがセイウチだとすぐに分かった。

 

 そのセイウチはオス。体長が約 2m。まだ若いと見えて、牙 (tusks)の長さは、たったの 30cmほど(成長したオスの牙は約 1mになる)。

 岩の上のセイウチは、とても疲れているようすだった。Walrus

” It was amazing. A real adventure. We couldn’t believe our eyes. It is once-in-a-lifetime stuff”

[ それはもう驚きだったわ。本当に起こったのよ。目を疑ったわ。一生に一度あるかないかのことよ。]

 

 北極圏に生きるセイウチが、Irelandに現われるのは珍しい。Shannon (シャノン)で初めて確認されたのが1897年。それから1980年代まで、セイウチが Irelandの海域に姿を見せることはなかった。しかし、徐々に、その姿が見られるようになり、この数十年間で20件以上の目撃情報があるという。

 

 では、なぜ、今回、若いオスのセイウチが、Irelandの海までやって来たのか。

 「Digle Oceanworld Aquarium」の Mr Kevin Flanneryによると、このセイウチ君、グリーランド海域に浮かぶ氷山で眠っている間に、「Gulf Stream (メキシコ湾流)」に押し流されて Irelandにたどり着いたようだ。そっとしてやれば、そのうち疲れも とれて元気になり、きっと自力でグリーンランドに帰るはずとか。

 

 セイウチの好物は「Icelandic clams (アイスランドガイ)」。きっと、これを沢山食べて、今頃は、グリーンランドの棚氷 (Greenland Shelf)に戻っているかも知れない。

  

おわりに:北の海に生きるセイウチは勇敢だ。その長いキバで、白熊の胸を貫くことさえあるため、獰猛な白熊も迂闊に手が出せないそうだ。

                (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie