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南極の棚氷ラーセンCの崩壊で:海面上昇10cm避けられず (BBC-Science & Environment, January 6, 2017)

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 地震発生後に、突然、海岸を襲う津波は恐ろしい。しかし、ジワジワと海辺、砂浜に迫って、これを飲み込む「海面上昇 (rise in sea level)」も、最近の異常気象と相まって、深刻な被害をもたらす危険度の高い災害ファクターだ。

 その最大の原因は、北極、南極の氷が溶けることにある。北極の氷が極端に少なくなって、北極グマの生存が脅かされていることは、よく知られている。
 異常は、南極でも起きている。

 南極大陸の西端に、突き出した角のような半島がある。南極半島 (Antarctic Peninsula)だ。その半島の東側に広がる棚氷 (ice shelf、たなごおり) は上から Larsen A, B, Cと呼ばれて来た。ところが、Larsen A は1995年に、Larsen B は2002年にそれぞれ大崩壊した。

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 残るは Larsen C。この棚氷にも大きな割れ目 (rift) が発生し、イギリスの「Project Midas」の科学者たちは数十年間、監視を続けてきたが、昨年の 12月、突然、割れ目が大きく広がり、「氷山分離 (ice carving)」寸前の状態になった。
  現在、かろうじて棚氷本体につながっている部分は 20km。面積が Wales の 1/4に相当する広さ 5,000 km2 の氷山に比べると、それは細い「ヒモ (thread)」のようなもの。まさに、棚氷の運命は、「風前のともしび」の状態にある。

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 この氷山分離で心配されるのは、その後、棚氷 Larsen C の全体が不安定になって、次々に、棚氷が崩壊し始めること。

"According to estimate, if all the ice that the Larsen C shelf currently holds back entered the sea, global waters would rise by 10cm."
[ 推定されるところでは、現在、何とか持ちこたえている棚氷ラーセン C の氷が、全て大陸から離れて海に入ると、地球全体の海面は 10cm 上昇する可能性がある。]

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 さらに深刻な事態が予想されている。
 棚氷がなくなると、南極半島から海に流れ込む氷河 (glaciers) のスピードが一気に増すことだ。このとき、海面はどれほど上昇するのか、検討もつかない。これは、もう津波が押し寄せるような規模では。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com