萌えいづる春:なにもかも刷新し、リフレッシュするチャンスだ! (RTE-News, Apr 7, 2023)
石(いわ)ばしる 垂水(たるみ)の上の さ蕨(わらび)の
萌え出(い)づる春に なりにけるかも
[ 万葉集 巻八 春の雑歌 ]
今からおよそ1,300年前、飛鳥の地で育った「志貴皇子(しきのみこ) [668- 716]」は、春の到来で野山が色めく景色を、このように歌に詠んで愛でた。歌人としての奇才ぶりを存分に発揮したこの一首で、後世に末永く、その名を残すことになった。
さて、春に夏、秋も、冬だって、すばらしい季節だ。が、春はやっぱり格別だ。他の季節にはない「生命の躍動と勢い」があり、草花・樹木の新芽・雌しべが発する「なまめかしさ」が漂う。
春が万物の「resurrection (復活)」の時であるとすれば、せっかくだ。春の大掃除のついでに、あなた自身のリフレッシュ対策に取り組んでみよう。
1.Reset your body clock:体内時計をリセットしよう
電波時計ならまだしも、普通の時計ではどうしても1年も経つと時刻表示にズレが生じてしまう。体内時計なら、なおさらのことだ。
そこで、年度始めに、体内時計のリセットがお勧めだ。そのためには、まずは十分な睡眠時間を確保すること。できることなら、一日 7 - 9時間の睡眠をとることが望ましい。その準備として、
・Try having a warm bath before bed to unwind, or practice yoga or meditation to help aid relaxation.
[ 就寝前に、からだをリラックスさせること。温かいお風呂、ヨガ・瞑想が効果的。]
・Switch off the telly and avoid scrolling on your phone for an hour before bed.
[ 就寝 1時間前になったら、スマホの電話に出ない、スマホに触らない。]
・Find your optimum temperature to sleep in: The ideal temperature is around 18℃。
[ 寝室の温度を調整:理想的な室温は 18℃。ただし、人によって若干違いあり。]
2.Make time for a daily walk:毎日、散歩に出かけよう
冬ごもりの時は過ぎた。少しばかり寒くても、外に出て、思いっきり手足を伸ばし、からだを動かしてみよう。
Dr Donald Grantによると、心臓に大きな負担が掛からず、しかも、からだに「エネルギーと活気 (energy and invigoration)」が みなぎる運動と言えば、「walking」に限る。太陽の光を浴びながら野山の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むなら、ビタミンDが十分に補給され、
・improved mood:気分が晴々する
・reduction in stress levels:ストレスが消える
・greater mental clarity:メンタルヘルスが回復
などのメリットが期待できる。
なにも、わざわざ遠くの山へ、トレッキングに出かけることもない。近所あるいは近くの公園内を歩くだけでも十分な効果がある。
・An 11-minutes brisk walk a day could significantly the chances of:
[ 1日11分の早足ウォーキングで、次の発症リスクが大幅に下がる。]
・heart disease:心臓疾患
・diabetes:糖尿病
・certain cancers:ある種のガン
との研究結果が報告されている。
3.Protect your skin:スキン・ケア(保護対策)を始めよう
残念なことに、春は花粉が飛ぶ季節でもある。3、4月のスギ花粉に始まり、5、6月になるとカモガヤ花粉で目のかゆみ、くしゃみ・鼻水が止まらなくなる人も少なくない。さらに、皮膚が荒れ、湿疹・吹出物 (eczema & rash)で悩まされることもある。
そんな春の皮膚のトラブルが起こったときは、患部にコットンを当てて、余分な水分を拭い取り、清潔に保つこと。その上で、外出の際には、日焼け止めクリームを塗って、紫外線対策をする。紫外線は、曇り日であっても、意外に強いもの。SPF30以上の日焼け止め製品がお勧めだ。ただし、香料が入ったものは、肌のトラブルを悪化させるおそれがあるため、避けたほうが無難だ。
4.Feed your gut microbiome:おなかの微生物叢を整えよう
人間の腸 (intenstines)には数兆の微生物が棲み着いて「gut microbiome (腸内微生物叢(そう))」を形成し、
・reducing the risk of certain cancers:ガンの発症リスクを抑え
・maintaining a healthy weight:健全な体重を維持し
・reducing inflammation:炎症を抑え
・improving digestion:消化を助ける
などの働きを担っている。この腸内微生物叢を正常に機能させるためには、
・probiotics:プロバイオティクス
・strains of live bacteria:生菌株
を含む食品の摂取が欠かせない。
なお、「probiotics (プロバイオティクス)」は発酵食品 (fermented foods)
・sauerkraut:サワークラウト
・kehr:ケール
・yoghurt:ヨーグルト
などに多く含まれている。これらの食品の他に繊維質(fibre)をたくさん摂取して、砂糖は控えめにすること。
5.Drink more water:もっと水分補給に努めよう
水分の補給は
・regulate your temperature:体温を調節する
・lubricate your joints:関節の動きををスムーズにする
・aid digestion:消化を助ける
・help you concentrate:集中力を高める
ために欠かせないものだ。
なお、NHSによると、
”Adults should generally be drinking six to eight glasses of water a day.”
[ 一般に、成人は1日コップ6− 8杯の水を補給することが必要。]
もちろん、水分補給として紅茶やコーヒーでも構わないが、できることなら砂糖・シロップなしがおすすめだ。また、紅茶・コーヒーなどの「Caffeinated drinks (カフェイン入り飲料)」には「利尿作用 (diuretic effect)」があるため、人によってはおトイレが近くなるので要注意。
おわりに:気分を改めて、何か からだに良いことを始めようと思っても、なかなかできるものではない。勉学も仕事も、からだに良いとする情報・ニュースも、もうたくさんだと、心の底から思い込んでは疲れ切って、目を塞ぎ、耳を塞いでいる人間がなんと多いことか。
さあ、「春のリフレッシュ作戦 (Spring refresh strategies)」を実行してみよう。たとえ「三日坊主」に終わってもいいではないか。「nature」は、きっと大目に見てくれるはずだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)
イースター・バニーはどこから来たか?:由来を探るTime Trip (RTE-News, Apr 15, 2022)
4月9日は「Easter (イースター)」だった。「The Resurrection of Chist (キリストの復活)」を祝う大切な日だ。この日、各家庭では、きれいに色付けしたタマゴをテーブルの上に飾り、「Easter Bunny」を添えて、復活祭パーテイが開かれる。
では、なぜ、イースターでタマゴが使われて、ウサギが もてはやされるのだろうか。この疑問に対して、即座にそれも簡潔に答えることができる人は少ない。実は、そこには、歴史上の、深い深いワケが隠されていたのだ。
まず、次の3つの疑問が浮上する。
・聖書によると、ウサギは不浄のはずでは?
聖書「Leviciticus 11:6 (レビ記11)」では、「hares to be unclean (ウサギはうす汚いもの)」とされる。その不浄な動物が、なぜ神聖な復活祭に登場するのか。
それとも「Easter Bunny」は、どこか特別な場所のウサギ、あるいは「Alice In Wonderland」の「clothed humanoid (服を着込んだ人間のようなウサギ)」なのか。これは、もう、心理学で「uncanny valley (不気味の谷)」と呼ばれる世界だ。
・ウサギは卵生だった?
ウサギがタマゴを抱いて孵化を待つはずがない。この世の哺乳動物 (mamal)の中で、卵生動物 (oviparous or egg-laying animals)」として知られているのは、「platypus (カモノハシ)」と「ehidna (ハリモグラ)」の 2種だけだ。ウサギは、胎内でその誕生を待つ動物だ。
・イースターが、なぜ復活祭に?
英語の「Easter」は、太陽が昇る方角を表わす「East」の変形版。したがって、その「Easter」の本来の意味は、「キリストの復活」と何の関係もなかったことは明らかだ。
そこで、始めに「Easter」の語源に当たってみる。
「Easter」とは、ゲルマン神話に登場する女神「Eostre (エオストレ)」 のことだった。古代のゲルマン民族は、春分の日に、光 (light)、春 (spring)、豊饒 (fertility)の女神「Eostre (エオストレ)」を祭って、儀式を執り行なった。
この女神のシンボルが「bunny (仔ウサギ)」だった。その春分の日が、たまたまキリストの復活祭に時期を同じくしたため、いつしか、キリスト教徒の間で、宗教上のシンボルとして取り入れられたと考えられる。
そして、ウサギはどんどん子どもを産んで繁殖することから、「fertility (豊穣)」の代表格 (ambassadors)となった。その繁殖スピードがあまりにも早いので、昔の人が、ウサギは聖母マリアと同じように「virgininity (処女)」のまま「parenthhood (親)」、いわゆる「concepton without sin (処女受胎)」するものだ、と信じたほどだ。
それを裏づけるものがある。ルネサンス時代のイタリアの巨匠「Titian (ティツィアーノ)」の名画「The Madonna and the Rabbit (聖マドンナとウサギ)」には、純潔 (purity)と処女受胎 (donception without sin)の象徴として、聖マドンナと一緒にウサギが描かれている。
さて、タマゴの話だ。
初期のヨーロッパの教会は、庶民に対し「during Lent (四旬節の間 [ 2月22 - 4月6日])」、タマゴを食べることを禁じた。そのため、Easterが終わると、人々はこぞって、タマゴを買い求めてはタマゴ料理 (eggy banquet)を楽しんだ。タマゴの殻に絵を描いたりもした。
一方、タマゴを籠(かご)に入れて持ち歩くウサギのイメージが普及したのは、ずっと後のことだった。
16- 17世紀に書かれたドイツの「an old fable (古い寓話)」によると、『良い子にだけ、耳の長い「Easter Hare (イースター・ノウサギ)」がタマゴをプレゼントするためにやって来る』と記載されているとか。
この話が、18世紀にアメリカ大陸に渡ったドイツ移民によって、一部の地に伝えられると、その後、アメリカ全土に広まって、子どもにも親しみやすい現在の「Easter Bunny」として受け入れられるようになったと言う。
おわりに:これで納得。バニーのぬいぐるみを着て街中を走り回る「ヘンなヒト」。あれは、良い子にタマゴをプレゼントする古いドイツのサンタさんのマネだったのだ。
(写真・動画は添付のRTE Newsから引用)
自然開発は自然の破壊だった:固有種 消え、生物多様性が危機に!
地球温暖化が進んで、この100年の間に Irelandの年平均気温は、約 1℃上昇した。その結果、これまで、いつもの場所でいつものように生きてきた植物は、もっと南の暖かい地域で生きていた植物によって北へ北へと追いやられ、植生分布は大きく変わった。
また、外来種 (non-native species)が Irelandに持ち込まれると、「native plant species (自生植物)」は生息地を奪われて、その数を減らした。
しかし、Irelandの野山や草原、湿地などで、ごく普通に鑑賞できていた「Ireland native flora (アイルランドの自生植物相)」が急減した最大の原因は、1950年代に始まった
・farming:農地開発
・forestry:(針葉樹の)植林
が招いた
・habitat loss:(自生植物の) 生息地の破壊
・mineral enrichment:(湖沼の) 養分富化
・altered grazing pressure:家畜放牧様態の変化
のせいだった。これが、植生分布マップ「The Plant Atlas」の作成のため、20年の歳月をかけて「The Botanical Society of Britain and Ireland (英国・アイルランド植物学会 BSBI)」が調査して得た結論だ。
今回の調査によって、Irelandで確認された植物種は1,939種。その半数が Irelandの固有種だった。ただし、その 56%は個体数を減少させていて、なかには絶滅の危機に瀕しいるものもあった。
一方、1500年代に Irelandに持ち込まれた外来種の 80%が、生息域を拡大させていた。
1.はびこる外来植物 (non-native plants)
外来種と言っても、そのほとんどは自然環境に さほどダメージを与えない。しかし、なかには自生種の生息域に侵入し、その生存を脅かすものもいる。その代表的な外来植物が
・Himalayan Balsam:オニツリフネソウ
・Rhododendron:ツツジ
・American Willowherb:カラフトアカバナ
・Nuttall's Pondweed:ヒルモ
2.農地開発、植林で消えた植物
Irelandでは、針葉樹 (conifers)の植林が進んで「boradleaved trees (広葉樹)」の林がどんどん失われ、それに伴って自生植物も消えた。もっとも打撃を受けた植物は「native glassland plants (草原に自生する植物)だった。その一つが
・Field Gentian;フィールド・ゲンティアン
また、湿地 (fen, marsh, swamp)も農地・放牧地に転用されるようになり、そこにに生息する
・MarshLousewort:マーシュ・ラウスワート
・Corn Mint:コーン・ミント
・heathers:ヘザー
・sundew:モーセンゴケ
などは、この30年間で極端に数を減らした。
なお、湿原 (peatbogs)は、炭素 C、メタン CH4の包蔵庫であり、気候変動の抑制システムとして重要な働きを担っている場所だ。
それに加えて、湿地に生息する自生植物が絶滅してしまうことは、「Irish flora (アイルランドの植物相)」の大半を失うことであり、「biodiversity conservation (生物多様性を保持)」する上で重大な問題だと、BSBIは指摘する。
3.BSBIのメッセージ
”Human activity is the cause of the decline and that human activity must be recruited to restore it.”
[ 植物がその数を減らした原因は、自然に手を加えた人間にある。ならば、植物を復活させるために、人間が努力するのは当然のこと。]
おわりに:「今さえよければ」、「自分さえよければ」、「得さえすれば」の思想は、自然を破壊し、平和を破壊し、友情を破壊する。地球上にはヒト属(Homo)以外に、そんな生きものは存在しない。
(写真は添付のRTE Newsから引用)
朝食を抜くと免疫力がガタ落ち:感染症、心臓疾患、ガンのリスク増 (RTE-News, Feb 28, 2023)
朝食を抜くと、人間のからだはどうなるか。
「Icahn School of Medicine at Mount Sinai( マウントン・サイナイ医科大学)」「The Cardovascular Research Institute (心血管疾患研究所)」の Dr Filip Swirskiらの研究グループは、マウスを使った動物実験に基づく「mechanistic study (反応機能研究)」によって、朝食を抜くと、からだの免疫システムが極度に低下することをつきとめた。(詳細は医学雑誌「Immunity」に発表。)
それによると、朝にエサを与えたマウスのグループと与えないマウスのグループから4時間おきに採血し、免疫力を担う白血球の一種「monocytes (単球)」ならびにその免疫細胞と脳神経との関わりについて詳しく調べた。
この「monocytes (単球)」は「bone marrow (骨髄)」でつくられ、血液とともに体中を循環して
・infections:感染症
・heart diseases:心臓疾患
・cancers:ガン
から人間を守ってくれる大切な免疫細胞だ。
ところが、マススが目を覚ましても朝食を与えないと、その4時間後、免疫細胞「monocytes (単球)」の90%がなくなっていた。それから 4時間経過した時点で再度、免疫細胞を調べると、そのほとんどが消えていた。
もちろん、朝、エサを与えたマウスには、免疫力 (免疫細胞)の変化が認められなかった。
さらに、朝食抜きのマウスでは、奇妙な現象が確認された。
絶食 (fasting)によって脳が空腹と感じると、血液中の免疫細胞「monocytes (単球)」を骨髄に呼び戻し、「hibernation (冬眠状態)」に眠らせてしまう。すると骨髄の細胞分裂の活動が鈍化する。
けれども、マウスを絶食させてから 24時間後に、エサを与えると、骨髄で眠っていた免疫細胞「monocytes (単球)」が目を覚まして、血液中に流れ出す。
しかし、残念なことに、一度、骨髄に戻った免疫細胞は、その力を失っていた。
炎症性 (inflammation)が格段に上がって、感染症 (infections)に対するからだの抵抗力を保てなくなっていたのだ。
どうやら、朝食を抜いたり、短期、長期にかかわらず絶食 (fasting)すると、脳のストレス反応 (stress responses)が働いて、血液中の免疫細胞が骨髄に呼び戻され、眠りにつく。その後、何かを食べると、眠っていた免疫細胞は、目を覚まして動き始めるものの、その免疫力はかなり低下してしまうようだ。
おわりに:誰かが「絶食がからだに良い」という。しかし、これを鵜呑みにしてはいけない。「からだに良い」とする根拠は何か。その結果は権威ある複数の医学雑誌に報告されたものであるか、さらに、自分にとって十分に納得できるものであるかなどを確認する必要がある。なぜなら、判断を間違えると、簡単に健康を崩すが、一度病気になった身体を、もとの健康な状態にするのには、大変な時間と努力が必要になるからだ。自分の大切なからだだ。科学的根拠のないうわさや最先端の医療知識・技術を持たず、かつ誠意もない医者に、医療判断を全面的に任せてはいけない。
(写真は添付のRTE Newsから引用)
アイルランドの春の異常気象:人も野山も「ずぶ濡れ」の3月 (RTE-News, Mar 28, 2023)
古代ローマ人は戦いに明け暮れた。当時のローマの旧暦は「Martius Mensis」で始まった。かれらは、戦いの神「Martius (マルティウス)」を称え、その軍神の名を一年のはじめの月「マルティウス月」としたのだ。それが、英語の「March (3月)」の語源。
ところで、「March 2023」は異常だった。IrelandならびにBritain島では雨が降って降って、降りまくった。
とくに、Irelandではひどかった。Met Éireann (アイルランド気象庁)の「暫定気象データ (provisional data)」によると、3月の全国平均 総降雨量は173.3mm。この値は、記録が残る83年間の中で最大の降雨量であった。1981- 2010年の30年間の「Long-Term Average (長期間平均 LTA)」の 1.69倍となる。
さらに、この3月の雨雲は、隣の Britain島にも大量の雨を降らせた。
・England
UK Met Office (英国気象庁)」によると、3月 (1- 30日)だけで、雨量111.3mmを記録し、およそ過去 40年間で最大の降雨量であった。
・Wales & North Ireland
Walesにおける 3月の総降雨量は 197.5mm、長期間降雨量平均LTAの 1.91倍を記録し、North Irelandでは 137.4mmで、LTA値の 1.58倍の雨が降った。
・Scotland
ただし、もともと3月に降雨量が多い Scotlandでは、ほとんど例年並み (わずか 3%増)の 128.7mmの雨量が観測された。
ところが、その前の 2月「February 2023」が、また記録的に雨の少ない月だった。記録上、下から4番目にランクづけされるほどだ。
ただし、地域によっては過去最小の降雨量を記録したところもあり、Ireland南東部「Wexford (ウエックスフォード)」の「Johnstown Castle」では、2月に降った雨の量が、わずか 7.4mmに過ぎなかった。
おわりに:日本で3月と言えば、桜の開花日が気になる時節。今年の春は全国的に暖かく、各地で、桜の開花が例年に比べて数週間以上早まった。
しかし、Irelandのように、この時期に雨が降り続いたら 、せっかくのお花見は台無し、庭の雑草と ひねくれ者だけが大喜びするだけだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)
スプリング・エクィノックス:太陽神アポロが暗黒神エレボスを押しつぶす日 (RTE-News, Mar 20, 2023)
地球の磁場にN極とS極があり、電流の流れにもプラス(+)とマイナス(−)の電極があるように、この世には相反する 2つが同時に存在する。
・virtue vs vice:善と悪
・heaven vs hell:天国と地獄
・holy vs valgar:聖と俗
・light vs darkness:光と闇(やみ)
・prosperity vs ruin:繁栄と没落
・success vs failure:成功と失敗
・fortune vs misfortune:幸運と不運
・happy vs unhappy:幸福と不幸
・peace vs war:平和と戦争
・life vs death:生と死
・positive vs negative:陽と陰
・maia vs depresssion:躁と鬱
・win vs lose:勝ちと負け
これらの 2つは、互いにその優劣を競い合うことを常とし、たとえ、どちらかがどんなに優位にあったところで、隙(すき)があれば、瞬時にして相手に打ち負かされてしまう。それは、人知を超えた、人間にとってはどうしようもない、創造主 (The Creator)のみが知る「fate (運命)」だ。
さて、およそ138億年前、宇宙が誕生し、約46億年前に太陽系が形成された。地球から見て、その太陽の見かけの通り道「黄道 (eqliptic)」が、地球の赤道面 (Equatorial Plane)を天球に投影してできる「天の赤道 (terrestial equator)」に交わる日は、わずかなズレを除くと、太陽は真東から昇り、真西に沈む。このため、昼と夜の長さはほとんど同じになる。
これが、春の 3月20日(または21日)の「Spring Equinox (春分)」だ。この日を境に、昼の日照時間は夜間時間よりも徐々に長くなり、日中の空気は温かみを帯びて、気温も上昇するようになる。梅や桜の蕾(つぼみ)がふくらんで、スイセン、クロッカス、ムスカリの花が咲き始めるのもこの時期だ。
Irelandの春は 2月1日の「Imbolg (インボルグ)」の祭りで始まるとされ、春半ば (mid-spring)」にやってくる「Spring Equinox (春分)」の日には、
・cleansing:清め
・fertility:豊饒
・creativity:創造
の儀式 (rites)を執り行なって、先祖の霊に感謝を捧げた。
その後、時が過ぎて、キリスト教が Irelandに普及すると、この日は「St Brigid (聖ブリギッド)」を称える祭りの日となった。
歴史上のいかなる文明にとっても、春分の日を正しく知ることは、農業の営みに欠かせない一大事であった。それゆえ、古代のエジプト、ギリシャ、マヤ、クメールの文明を築きた王国は、いずれも、その遺跡・建造物に工夫を凝らし、春分の日の朝日を目に見える形で捉ることができるように設計した。
[ From: Paul G. Bahn: Archaeology; The definitive Guide, Fog City Press, 2003 ]
なお、Ireland北部の「Meal (ミール)の小高い丘の「Loughcrew Cairn (ラフクルー・ケルン)」は、およそ2,000BC- 3,000BCの新石器時代に建造された「passage tombs (羨道墳[せんどうふん])」。3月20日、朝日が昇って、その光が入り口に差し込むと、光は暗くて狭い通路を奥へ奥へと一直線に進んで、やがて、すばらしい絵で埋め尽くされた壁面と、その前の床の中央に置かれた石棺を照らし出す。入念に設計された古代人の技だ。
かれらにとって、「Spring Equinox]とは、まさに「光」が「闇」に打ち勝ち、「生」が「死」を打ち負かして、枯れ尽くした生物がこの世に再生することを許す「Resurre (復活)」の瞬間であったに違いない。
おわりに:天の運行と時間に逆らうことなどできない。この世の全ては時間とともに移りゆくものであり、人は、ほんのひとときの間、生を営むに過ぎない生物だ。現世の全ては有為転変とも言うが、そんな中で、人間の「まごころ」や「やさしさ」までが変わっては、まともな人間ではなくなる。
(写真は添付のRTE Newsから引用)
心臓発作、脳卒中、心不全:よく歩く人は、その発症リスクが低い! (RTE-News, Mar 2, 2023)
今は、道ばたや駅前に乗り捨てられている自転車。しかし、それさえ、庶民の暮らしが貧しくて、おいそれと買えない時代があった。
そして時が過ぎた。
ほとんどの家庭で複数のクルマを購入し、子どもの送り迎えや近くのスーパーで買い物をするときでさえ、クルマを動かすようになると、歩くのが億劫と感じ始めた。健康的な歩きかたも忘れてしまった。
さて、Alabama大学で疫学 (epidemology)を専門とする Dr Erin Dooleyらの研究グループが、「The American Heart Association’s Epidmiology, Prvention, Lifestyle & Cardiometabolic Health Scientificc Sessions 2023」で発表した研究結果は衝撃的だった。なんと、人は歩かないと心臓が弱り、「cardivascular diseases (心血管疾患)」のリスクが高くなるというのだ。
Dr Dooleyらは、研究に協力してくれた被験者452人 (70歳以上: 平均年齢75歳)全員に、「加速度計 (accelerometer device)」をつけてもらい、3年半にわたって各人の一日の歩数(歩速・歩行距離も)を記録し、その結果から被験者を 2つのグループに分けて健康状態を比較した。
すると、「一日の歩数が2,000歩以下」のグループと「一日の歩数が約4,500歩」のグループの「cardivascular diseases (心血管疾患)」すなわち
・heart disease:心臓疾患
・stroke:脳卒中
・heart failure:心不全
などの発症率を比較すると、
・fewer than 2,000 steps a day:11.5%
・some 4,500 steps a day:3.5%
つまり、一日の歩数がおよそ4,500歩の人は、歩数がその半分以下の人に比べて心血管疾患の発症リスクが 14%も低下することがわかったというのだ。
ただし、一日の歩数を4,500以上に増やすと、心血管疾患の予防につながるのか、またはその発症を遅らせることができるのか、あるいは、この「一日の歩数」を潜在的な病気のインディケーター(指標)として使用できるかなどについては、さらなる研究が必要とのこと。
おわりに:なお、同じ歩行 (walking)でも、ぶらぶら歩く (strolling)のと、背筋を伸ばして軽く汗ばむほどの早足で歩く (brisk walking) とでは、運動のレベルが全く違う。お勧めの歩行スピードは「10分で1,000歩」。その後、むりのない範囲で、腕立て伏せ (push-up) に挑戦してみよう。だれにでも簡単にできる運動だ。ただし、以上のことがつらいと感じる人はからだがなまっている証拠。注意されたし。
追記:この辺で暫時休憩、春休み。大学の授業・講義は、ほんの序の口。学生の皆さんにとっては、「なぜ」の探求と基本的な「知」をじっくりと深めるチャンスだ。
・Ian Sneddon: Elements of Partial Differential Equations
・Cecie Starr et al: Biology; Concepts and Applications
・Atkinson & Hilgard' Introduction to Psycology
・Michael Swan: Practical English Usage
を手に取り、熟読してみよう。きっと新たな発見があるはずだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)