イースター・バニーはどこから来たか?:由来を探るTime Trip (RTE-News, Apr 15, 2022)
4月9日は「Easter (イースター)」だった。「The Resurrection of Chist (キリストの復活)」を祝う大切な日だ。この日、各家庭では、きれいに色付けしたタマゴをテーブルの上に飾り、「Easter Bunny」を添えて、復活祭パーテイが開かれる。
では、なぜ、イースターでタマゴが使われて、ウサギが もてはやされるのだろうか。この疑問に対して、即座にそれも簡潔に答えることができる人は少ない。実は、そこには、歴史上の、深い深いワケが隠されていたのだ。
まず、次の3つの疑問が浮上する。
・聖書によると、ウサギは不浄のはずでは?
聖書「Leviciticus 11:6 (レビ記11)」では、「hares to be unclean (ウサギはうす汚いもの)」とされる。その不浄な動物が、なぜ神聖な復活祭に登場するのか。
それとも「Easter Bunny」は、どこか特別な場所のウサギ、あるいは「Alice In Wonderland」の「clothed humanoid (服を着込んだ人間のようなウサギ)」なのか。これは、もう、心理学で「uncanny valley (不気味の谷)」と呼ばれる世界だ。
・ウサギは卵生だった?
ウサギがタマゴを抱いて孵化を待つはずがない。この世の哺乳動物 (mamal)の中で、卵生動物 (oviparous or egg-laying animals)」として知られているのは、「platypus (カモノハシ)」と「ehidna (ハリモグラ)」の 2種だけだ。ウサギは、胎内でその誕生を待つ動物だ。
・イースターが、なぜ復活祭に?
英語の「Easter」は、太陽が昇る方角を表わす「East」の変形版。したがって、その「Easter」の本来の意味は、「キリストの復活」と何の関係もなかったことは明らかだ。
そこで、始めに「Easter」の語源に当たってみる。
「Easter」とは、ゲルマン神話に登場する女神「Eostre (エオストレ)」 のことだった。古代のゲルマン民族は、春分の日に、光 (light)、春 (spring)、豊饒 (fertility)の女神「Eostre (エオストレ)」を祭って、儀式を執り行なった。
この女神のシンボルが「bunny (仔ウサギ)」だった。その春分の日が、たまたまキリストの復活祭に時期を同じくしたため、いつしか、キリスト教徒の間で、宗教上のシンボルとして取り入れられたと考えられる。
そして、ウサギはどんどん子どもを産んで繁殖することから、「fertility (豊穣)」の代表格 (ambassadors)となった。その繁殖スピードがあまりにも早いので、昔の人が、ウサギは聖母マリアと同じように「virgininity (処女)」のまま「parenthhood (親)」、いわゆる「concepton without sin (処女受胎)」するものだ、と信じたほどだ。
それを裏づけるものがある。ルネサンス時代のイタリアの巨匠「Titian (ティツィアーノ)」の名画「The Madonna and the Rabbit (聖マドンナとウサギ)」には、純潔 (purity)と処女受胎 (donception without sin)の象徴として、聖マドンナと一緒にウサギが描かれている。
さて、タマゴの話だ。
初期のヨーロッパの教会は、庶民に対し「during Lent (四旬節の間 [ 2月22 - 4月6日])」、タマゴを食べることを禁じた。そのため、Easterが終わると、人々はこぞって、タマゴを買い求めてはタマゴ料理 (eggy banquet)を楽しんだ。タマゴの殻に絵を描いたりもした。
一方、タマゴを籠(かご)に入れて持ち歩くウサギのイメージが普及したのは、ずっと後のことだった。
16- 17世紀に書かれたドイツの「an old fable (古い寓話)」によると、『良い子にだけ、耳の長い「Easter Hare (イースター・ノウサギ)」がタマゴをプレゼントするためにやって来る』と記載されているとか。
この話が、18世紀にアメリカ大陸に渡ったドイツ移民によって、一部の地に伝えられると、その後、アメリカ全土に広まって、子どもにも親しみやすい現在の「Easter Bunny」として受け入れられるようになったと言う。
おわりに:これで納得。バニーのぬいぐるみを着て街中を走り回る「ヘンなヒト」。あれは、良い子にタマゴをプレゼントする古いドイツのサンタさんのマネだったのだ。
(写真・動画は添付のRTE Newsから引用)