紳士・淑女のテーブルマナーは:どうなってしまったのか? (RTE-News, Aug 15, 2023)
テーブルマナーは、伝統的な食事作法。他の人と一緒に食事する場合には、これを無視した、周囲の人のひんしゅくを買うような我がままな食べ方は許されない。もちろん、国、宗教、文化・歴史の違いによって、食事作法は異なる。しかし、「In Rome, do as the Romans do.(郷に入っては郷に従え)」。どんなに社会的な地位が高く、どんなにお金持ちの観光客といえども、他国に入ったら、その国の食事作法・慣習、ルールを尊重するのが「礼義」というものだ。
さて、Irelandでは、Covid-19パンデミック以降、それ以前に比べて、家族そろって、ダイニング・テーブルを囲む機会が少なくなったという。
Ireland西部の名城で 5つ星ホテル「Ashford Castle (アッシュフォード城)」のレストランで、37年間働く Mr Robert Boweによると、『家族連れの「International guests (異国人の観光客)」は、全体的にテーブルマナーが悪い』。
さらに、問題になっているのが、レストランに持ち込まれる「the blight of the mobile phone (はた迷惑なスマホ)」。レストランで働くどんな人にとっても「the big bugbear (やっかいなバケモノ)」だ。
ただし、昨今の状況では、ダイニング・テーブルでスマホを禁止しようものなら、客足が遠のいて、テーブルの数を減らさざる得なくなりかねない。
そのため、ディナー・テーブルでは、「phone-free (スマなし)」が望ましいことに違いないが、現状では客が
・looking up recommendations (レストランのお勧め料理をチェックする)
・finding out what ingredients are in season (旬の食材をチェックする)
・symply staying entertained when dining alone (一人だけのダイニングで、ただ楽しむために)
スマホをいじるに任せるしかないのだ。
ところで、高級レストランのダイニングコース (fine dining)では、どきもを抜かれるほど たくさんのグラス、フォーク・スプーン、プレートが目の前に並べられる。
Mr Boweによると、どんなディナー・コースも本人にとっては忘れられないすばらしい経験になるはず。だから、わからないことがあったら、気軽に尋ねて構わないそうだ。ディナーは「a sense of theatre (ある意味で劇場)」と言っていい。毎晩レストランで繰り広げられる「performance」のようなものだ。
また、IrelandではTVドラマ「Downtown Abbey」の影響で、「Afternoon tee」が天井知らずに伸びている。お客は正装してホテルにはいる。ウェストコートに、おしゃれなネクタイをし、胸には「pocket squats (ポケット・チーフ)」を決め込み、午後の一時をホテルで優雅に過ごすようになったとか。
おわりに:テーブルに肘(ひじ)をついて、犬食いするのは誰の目にも見苦しい。テーブルマナーとは、少なくとも、その国の食文化で見苦しいとされることをしないことだ。
(写真は添付のRTE-Newsから引用)