有罪か、無罪か?:証拠不十分。よって、本件の起訴状は却下! (RTE-News, Sep 5, 2023)
New Zealandの「North Island (北島)」から北に約48kmの海上に、先住民のマオリ語で「Whakaari (ファカアリ)」、英語名「White Island」と呼ばれる火山島がある。1975年頃から噴煙を上げ続け、これまで何度も火山爆発 (volcanic eruption)を起こしてきた島だ。
とくに2019年の12月9日に起きた爆発は、すさまじかった。火口から灼熱した火山灰や蒸気が大量に吹き上がった。当時、島には観光客(ガイドを含む)47名が上陸していて、観光旅行を楽しんでいた。
ところが、現地時間 14:11、とつじょ、火山が爆発。その爆発で22名が死亡。命からがら生き延びた観光客も、ひどい火傷(やけど)を負った。
この「Whakaari (ファカアリ島)」は、「Peter, Andrew, and James Buttle」3兄弟の所有となっていた。そこで、当局は「health and safety breaches (保健・安全法違反)」で3名を起訴 (charge)。
裁判は、この7月に「Aucland district court (オークランド地方裁判所)」で始まり、これまで審理 (trials)が繰り返されてきた。
その審理の最終判決が、ようやく、この 9月 5日 (火)、Evengelos Thomas裁判官によって言い渡された。
” It’s “not about whether any of ... (the trio) are guilty or not guilty,”
“ It is about whether there is even enough evidence to continue with the charges at this stage. Could I reasonably convict any of the Buttels on that evidence? No.”
[ この件は、いずれか.... すなわち、(被告 3名のいずれか)が有罪か無罪かについて審理すべきものではなく、 ]
[ 現段階において、とにかく審理を続けるべく十分な証拠が存在するか否かの問題である。本官は、そのような証拠のもとで、Buttle兄弟に対して合理的な判決を下せるだろうか。答えはNOだ。」
したがって、当局から起訴された本件については「dismissed (却下)」。
ただし、Buttle兄弟がディレクターを務める「Whakaari Management Limited」と「tour operator (ツア・オペレーター)[旅行企画会社]」2社に対する「breaching safety regulation (安全法違反)」については、今後、さらに審理が予定されている。
なお、「They all deny wrongdoing. (被告人は全員、罪状を否認)
おわりに:火山噴火事故の責任判断は難しい。しかし、なぜ、これほど多くの犠牲者が出たのか、その原因はどこにあるのか。この点をあいまいにしては、亡くなった人、その遺族、負傷者に申し訳が立たない。
(写真は添付のRTE-Newsから引用)