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一生に一度のコメット:次に現われるのは500年後の「ほうき星」 (RTE-News, Sep 9, 2023)

Comet Nishimura is travelling through space at 385,000km/h (Courtesy: Dan Bartlett)

 平安の都(みやこ)びとは「ほうき星」と呼んだ。薄っすらと尾を引く「comet (彗星)」のことだ。しかし、古代ギリシア人は、その星の尾を髪の毛にたとえて、これを「kometes (long-haired)」、すなわち「長い髪の星」と呼んだ。

 

 その「comet」といえば、1986年に地球に接近した「Halley’s Comet (ハレー彗星)」が有名。楕円軌道ながら、太陽の周りを76年かけて一周する彗星だ。夜空に一度、これを目撃すると、次に目にするのは76年後。再会にはずいぶんと待たされる。

 

 ところが、ハレー彗星の公転周期の 6.6倍 (約500年)もの彗星が、1ヶ月前 (8/11)に発見された。発見者は静岡県に住むアマチュア天文写真家 西村英夫氏。デジタルカメラを「long-exposure (長時間露光)」にして撮った写真上で、これを見つけたという。ただちに「Minor Planet Centr (小惑星センター)」に確認を依頼し、その後の8月15日、この彗星が正式に「Comet C/2023 P1 (Nishimura)」と命名された。

 

 Hull大学「E A Milne Centre for Astrophysics(ミルン天体物理学センター)」の Brad Gibson教授によると、この新発見の彗星は、現在、約 385,000km/hのスピードで地球に近づいていて、肉眼でも観測できるという。よく見える時間帯は、日没 (sunset)後から1時間あるいは夜明け (dawn)前の1時間だ。「crescent moon and Venus (三日月と金星)」が輝く東北東の夜空に目をこらすこと。

 「Comet Nishimura」が地球に最接近するのは 9月12日(火)。そのとき、この彗星と地球との距離は約125万キロメートルまで短縮されるため、肉眼で見る絶好のチャンスだ。なにしろ、500年に一度というから、まさに「a once-in-a-lifetime opportunity (一生に一度のチャンス)」だ。

 Gibson教授によると、「Comet C/2023 P1(Nishimura)」は、直径が数百メートルから数千メートルの「chunks of ice and rock(氷と岩の塊)」。この太陽系で、約50億年前に誕生したと考えられるという。

 

 「Comet C/2023 P1」は、地球に最接近した後、太陽に徐々に近づいてゆく。もっとも近づくのは 9月17日。このとき、太陽からの高温に晒されて、彗星の尾をなす「an icy gas (噴霧上の氷)」の一部が溶けてバラバラになる可能性がある。この現象は、例年12月に、地球で観測されている「Sigma^Hydrids (うみへび座σ流星群)」と同じ。

 

 ちなみに、「Comet C/2023 P1」の軌道は、天文学者によって慎重に計算され、地球に衝突するリスクはゼロと判断されている。

 なお、今から6,500万年前、地球に衝突し、「dinosaurs (恐竜)」を絶滅させた天体が「asteroid (小惑星)」であったのか、それとも「comet (彗星)」であったのかについては、現在も科学者の間で意見が分かれているという。

 

 これまで、さまざまな古文書で彗星が記録されているように、地球上では平均にしておよそ10年に一度の割合で彗星が観測されている。

 昔の人は、夜空に彗星が現われると、これを

 

・being portents of doom(悪いことが起こる前ぶれ とか)

・being heralds of good news(良いことが起こる知らせ)

 

などと、解釈 (interpretation)に努めてきたそうだ。

 

おわりに:澄み切った夜空に、突如として、見たこともない星が現われたとき、宮廷で安穏(あんのん)として暮らす権力者たちは、さぞかし慌(あわ)て、驚いたに違いない。なにしろ、自分たちは全知全能の神あるいは神に近い人種と、信じて疑わない人間だ。その星の出現を大衆に説明できないようでは、沽券(こけん)に関わる。信用・面目(めんぼく)まるつぶれだ。だから、星占いの書物を取り出しては、なんとかして、こじつけの説明をひねり出したと思われる。

      (写真は添付のRTE-Newsから引用) 

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