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根も葉もない「植物の育て方」:これに騙されないために! (RTE-News, May 9, 2023)

From watering and misting to making your own fertiliser, "plantfluencer" Tony Le-Britton has done some digging.

 かって、どんな町や村にも、「もの知り」と呼ばれる人が、ひとり、二人はいたものだ。その中には、みんなから尊敬されるような立派な人格の持ち主もいることはいたが、その知識をやたらとひけらかし、己の意にそぐわない人、貧乏で学校にも碌(ろく)に通えなかった老人や子どもなどを、いびったり、馬鹿にする「もの知り」が少なくなかった。

 

 「猫が顔を洗うと雨が降る」と、したり顔で言って見たり、「口笛ふくと貧乏する」などと、まことしやかに諭(さと)したものだ。しかし、そのほとんどは、根も葉もない、単なるたわごと、作り話の「俗説 (myths)」に過ぎなかった。

 後に、「猫が顔を洗えば天気になる」との言い伝えもあることを知った。

 

 そして時は過ぎた。世の中は情報で溢れに溢れた。

 観葉植物 (houseplants)の育て方についても、SNSの世界では「あれやこれや」と情報が溢れ、その中から根拠のある正確な情報を見つけ出すことが難しくなった。

Tony Le-Britton tending plants (Jason Ingram/DK/PA)

 RTEは、ここに Mr Tony Le-Brittonのアドバイスを紹介する。Mr Le-Brittonは独学(self-tought)で園芸技術を習得して、今は Northamptonで観葉植物店を経営する園芸専門家だ。

 以下は、Mr Le-Brittonが指摘する、観葉植物の育て家に関する「まことしやかな俗説 (myths)」の代表例。

 

Myth 1: Bottom watering best (水やりの一番は、鉢を水につけること) 

 これがいつもベストとは限らない。とくに、初心者であったり、つねに多めに水やりする人、あるいは、根が強く張った観葉植物の場合、水やりの基本は、鉢の受けから水を注ぐことだ。

 

 また、鉢の底を水に浸しておくと、植物はかってに必要な量の水を吸収するだろうと考えがちだが、実際は、そうはいかない。確かに鉢の中の土壌が水を吸い上げはする。しかし、植物の根は鉢の「下層部 (substrate)」から水を吸収するのだ。その下層部がつねに水に浸かって「oversaturate (過飽和状態)」であれば、「根腐れ (root rot)」の原因になりかねない。日当たりの悪い場所では、とくに注意すること。

Myth 2: You must stick to a watering schedule (水やりは添付の栽培管理に従う)

 観葉植物を購入すると、小さな「栽培管理」カードが付随している。そこには

・water every seven days:水やりは7日おきに

・water every seven to 10 days:水やりは 7- 10日おきに

などと記載されている。しかし、水やりの頻度は鉢を置く場所によって違うもの。日当たりが良くて、暖かい屋内なら「every tow days (2日おきに)」でも構わないのだ。逆に、日当たりが悪い場所なら「every month (月一回)」となる。

 つまりは、少なくとも週に一度は、鉢の中の土壌の乾燥状態をチェックし、土の表面が乾いているときだけ、水やりすることが肝心だ。

 

Myth 3: Tap water is bad for plants (水道水は植物によくない)

 そんなことは、まったくない。唯一の例外は「carniborous plants (食虫植物)」。これだけは天然水 (雨水、河川・池の水)が必要だ。

 なお、一般の観葉植物では、水道水に含まれる塩素 (chlorine)の濃度は、ほとんど問題にならない。むしろ、微量な塩素は植物の成長にとって必要な要素でもある。

 

 また、水道水を一旦沸かしたり、一晩寝かせて使うと、水に含まれるミネラルが濃縮されるとか。

 

Myth 4: You have to mist (霧吹きで湿らせないといけない)

 霧吹き作業が好きな人ならともかく、その目的が、単に、観葉植物に「humidity (湿り気)」を与えるためだとしたなら、やめた方がいい。カビの発生を招くだけだ。普通の観葉植物の場合、あえて、その葉を湿らせる必要はない。植物自体に水分を調節する機能が備わっている。

Myth 5: Homemade fertiliser is always best (自家製肥料が常にベスト)

 せっせと自家製肥料をつくっても、食品廃棄物がまるっきり無駄になることもあれば、それに要した時間がまるっきり無駄になることもある。さらに、その自家製肥料は観葉植物に対してダメージを与えることさえある。

 バナナの皮が「potassium (カリウム)」に富むと聞いて、これを肥料にすると、効果があると信じ込んでいる人もいるが、これは間違い。本当は、バナナの皮にカリウムなど含まれていない。たとえ、含まれていたとしても、植物にとって、そんなにうれしくないことだ。植物がすくすく成長するためには

 

・nitrogen:窒素N。

・phosphoros:燐P

・potasssium:カリK

 

がバランスよく整っている必要があるのだ。しかも、植物の種類によって、最適な配合比は違ってくる。

 このことを知らずに、N, P, Kのいずれか一つを過剰に与えると、「nutrient rock (肥料やけ)」を起こすおそれがある。このため、観葉植物の肥料としては、市販の「sythetic natural blend fertiliser (化成肥料)」がおすすめだ。

 

Appendix: What about fertilisers made from home-grown comfrey?(コンフリーを肥料として使用するには)

 コンフリーや海藻を肥料として利用するのはすばらしい。ただし、それは屋外のガーデニングに限ることだ。屋内の観葉植物にこの種の肥料を与えると

・anaerobic bacteria:嫌気性バクテリア

・root rot:根腐れ

・fungus gnats:キノコバエ (ブヨ)

 

の発生を招きかねない。

Book jacket of Not Another Jungle by Tony Le-Britton (DK/PA)

おわりに:「人のはなしは素直に聴くものだ」とお説教する人もいる。しかし、イソップは別の見方をする。「The miller, his son, and their ass (粉やとその息子とロバ)」(ロバを売りに行く親子)」の物語では、『道端の声をまともに聴いていると、とんでもない結末になる』ことがテーマだった。『なにが真実なのか』については、軽々に他人の言葉を信じてはいけない。

 

・V.S. Vernon Jones (transl.), Arthur Rachham (illust.) : Aesop's Fables: William Heinemann Ltd, 1988

                               (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie