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Irelandで代々伝承されたきた:薬草、おまじない、治療テクニック (RTE-News, Aug 8, 2022)

'Sheep droppings boiled in milk were used as a cure for whooping cough, and other ailments, in some parts of the country.'

 その昔、貧しい村々では、医者にも生薬屋にも頼ることなどできず、けが人や病人が出ると、村に住む物知りの老人や寺の和尚のもとに駆けつけて、手当を請い願った。その手当と言っても、ほとんどが薬草を用いるか、おまじない、あるいは神仏の加護にすがる儀式を執り行うものだった。

 

 そんな事情は、Irelandとて同じようなものだった。病気の原因などわかるはずのない昔のことだ。病気になるのは、なにか得体の知れないものに取り憑かれたか、悪魔のしわざ (bad luck)か、それとも敵が危害を加えたせいだと信じられた。

 

  ほとんどの家庭では、ちょっとしたヤケド、カゼなどの「ailments (軽い病気・ケガ)」の治療の際には、

 

・rituals of sacrifices:捧げ物の儀式

・magic or verval charms :マジカルなしぐさ、 おまじない

・acts of sympathetic magic:願掛けの儀式 (類感呪術)

 

なども行ない、健康の回復を願った。

 しかし、ときには、病気の治療を、民間療法 (folk medicien)に精通した「practitioners (施術師)」、すなわち

 

・faith healer:信仰療法師

・herbalist:ハーバリスト (薬草医)

・person with ‘the cure’ for a particular disorder:その病気に治癒力をもった人「practitioners (施術師)」

 

などにお願いすることもあった。

 そんな治療を心底信じ込んでいた患者の多くは、治療を受けると、おそらく気のせいで (for psychological reasons)、よくなったように感じたのだ。

 

 Irelandで代々伝えられ、生き続けてきた民間療法が本当に効き目があるかどうかは別にして、その土地で暮らす人々にとって、これを受け入れ、試してみたいと思う文化・背景があったことは事実だ。専門の施術師と言っても、金儲けのために治療することはなく、ほとんどは「心付け (donation)」を受け取る程度だった。

 

1.Practitioners:施術師

 アイルランド語の「bean feasa」とは、ハーブ治療 (herbal medicine)や軽い体調不良(ailments & upsets)の治療に精通した「wise woman (賢女)」を意味した。その魔力は生まれつき備わったものとされ、とくに「fairy women (妖精)」はハーブとおまじないで病気を癒やすと信じられた。

 もちろん、ハーブ治療に当たる人のなかには、何年も何年も修行と経験を重ねて、治療法 (skills)を会得したものもいた。

 

  また、不思議なことに、生まれたときから、ある特定の病気に対して治癒力がある人もいて、

 

・the seventh son of a seventh son:七男の七男の息子

・a man who had never seen his father:親の顔を知らないで育った男

 

などが、それだった。

 

 さらに、施術師の子どものなかには、父親が執り行う「special rituals (特別な儀式)」に立ち会っている間に、その治癒力が体に乗り移ったこともあったと言う。

 その他、

 

“licking a lizard nine times over a particular time period and at a specific location”

[ 秘密の時間に、秘密の場所で、トカゲを9回舐めると、ヤケドを治す魔力がつく]

 

と信じられた。

 

 不思議はまだ続く。

 現代の医療現場では、医者は内科、外科、眼科などとその専門分野別に担当するが、これと同じように、民間療法の施術師も、その治療が

 

・gallsstones:胆石

・eczema:湿疹

・thrush:カンジダ

 

などと、専門分野に特化するようになった。その施術に関する知識は、数世代に渡って代々積み重ねられたものであり、一子相伝の部外秘、秘中の秘として固く秘密にされた。

 

2.Herbal cures:ハーブ治療

 ハーブ治療 (herbal medicine)に使用するハーブは、夜に摘み取ったり、「May Eve (ヴァルプルギスの夜 [Walpurgis Night])」などの特別な日に摘み取ると、薬効が強まるとされた。なお、ハーブはハーブでも、葬式の当日、死者の手に握られたハーブには強い薬効があるとも信じられた。

 

 ハーブ治療によく用いられたハーブとしては

・ground ivy:ジギタリス

・eyebright:コゴメバナ

・groundsel:ボロギク

・young hawthorn shoots:サンザシの若芽

・elder bark:ニワトコの樹皮

・foxglove:カキドオシ

・yarrow:セイヨウノコギリソウ

・dock leaves:ギシギシの葉

 

3.Folk cures:民間治療 (迷信)

 自分たちで行なった民間療法には、ほとんど「迷信 (superstitions)」と言えるものもある。

3−1 transference rituals:おまじないで、病気を他のものに移す儀式

・mumps (オタフク風邪):患者の頭をなでなでした手で、豚の背中をさすると、オタフク風邪が豚に移って治る

・warts (イボ):イボの数だけ小石を拾って、これを十字路に置くと、イボが消える

・illness (病気):神聖な場所に生えた特定の木の枝にボロ布をぶら下げて置くと、その布がボロボロになるにつれて病気は回復に向かう。

 

3−2 home remedies:家庭療法

・septic sores (連鎖球菌性咽頭炎):すりつぶしたジャガイモあるいはバン粉でつくった湿布薬を喉に貼る

・wounds and bleeding (ケガ・出血):苔と蜘蛛の巣を混ぜて使う

・coughs(セキ):溶き卵にハチミツを混ぜて飲む

・headache (頭痛):柳の樹皮を噛む

・scald & burns(ヤケド):バターミルクとバターを塗る

・poultices & skin application (湿布・皮膚保護):新鮮なキャベツの葉

・cold (風邪):ウィスキー、バター、砂糖、ミルクの混ぜ合わせが効く

・common stomach upsets & aching muscles (胃の不調、筋肉痛):重曹硫酸マグネシウム (19世紀に使用され始める)

 

3−3 outlandish cures:奇妙奇天烈な治療

・thrush (カンジダ症):イタチ (weasels)が口にしたミルクを飲む

・toothache (歯の痛み):死体を包んだリネンの布

・burns (ヤケド):通夜 (wakes)で使ったローソクの残り

・whooping cough (百日ゼキ):sheep droppings boiled in milk (ミルクにヒツジのフンを入れて沸騰させたもの)

 

おわりに:どんなに迷信だと言われようが、その「おまじない」で病気が治るものなら、やってみたい、と思うのが人情。ただし、「霊水」などと称して、人の弱みにつけこみ、ただの水を法外な値段で売りつけては、金をだまし取る者もいる。これは詐欺であり、許しがたい犯罪だ。

    (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie