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日暮れの早い冬:体内時計と睡眠パターンが変わる! (RTE-News, Feb 17, 2023)

The analysis of people undergoing sleep studies found that people get more REM (rapid eye movement) sleep in the winter

 野山の草花は秋に枯れて、春に芽を出し、森のチップマックやクマも晩秋に冬眠(hibernation)に入り、春になると再び地上に姿を現わす。

 なにしろ、冬は気温が下がって生息環境が極端に悪化する。地上の生物は、なんとか、厳しい冬を切り抜けようと進化してきた。

 

 しかし、例外がある。それが「human (人類)」だった。

 「Charité -Uuniversitätsmedizin Berlin (シャリテー・ベルリン医科大学)」の Dr Dieter Kunzによると、人類がその進化の中で成し遂げたもっとも重要なことは、四季の変化にほとんど左右されず、一年を通して行動できることだった。

 

 ところが、実は、それは表面上のことであって、人類の睡眠パターンは「四季の変化(seasonability)」に大きく影響されていることがわかった。

 Dr Kunzらの研究グループが「St Hedwig Hospital」において睡眠障害を抱える被験者292人に対して「polysomnographies (ポリソムノグラフィー)」検査を実施し、

 

・目覚ましなしで睡眠が普通にとれているか

・睡眠の質

・睡眠パターン

・睡眠時間

などのデータを分析して得た結果だ。(研究の詳細は医学雑誌「The Frontiers in Neuroscience」に発表。)

 

 なお、被験者のうち、睡眠治療を受けている患者、テクニカル・エラー、まどろみなしで眠りに入る患者などのデータは、分析から外したため、結局、研究対象者数は188人であった。

 

 さて、一般に、睡眠は、3種の Non-REM (ノンレム睡眠)を含む、次の「four stages」をたどる。

 

・awake sleep:まどろみ (うとうと)期

・light sleep:軽睡眠期

・deep sleep:深睡眠期

・REM sleep:レム睡眠

 

 睡眠障害を抱える被験者各人の症状には、明確な「seanonal pattern (季節変動性)」が認められなかったが、不眠症 (insomnia)に限ると、年末が近づくにつれてその症状が顕著になった。

 

 さらに、Dr Kunzらの研究によると、冬になって太陽の光が弱くなると、睡眠時間は夏に比べて約1時間伸びる傾向にあった。また、同時に、「circadian clock (概日時計)が影響を受け、これと密接な関係にある「REM sleep (レム睡眠)」が 30分長くなることもわかったという。レム睡眠は、脳が活発に働くときだ。この睡眠中に人は夢をみているとされる。

 今回の被験者のように都会に住んでいると、冬、日暮れが早くなったからといっても、夜の街は人工照明によって赤々と照らされるため、夏と冬に受ける日の光の変化は小さいと考えられる。しかし、実際には、季節によって異なる、そのほんのわずかな光の変化が、人間の睡眠に大きな影響を及ぼしていたことになる。

 

 したがって、人間は、季節変化に眠り方や生活スタイルを合わせることが理想的だ。社会は、学校、職場のタイムスケジュールに「seasonaity (季節変動性) 」を考慮することが必要であると、Dr Kunzは訴える。

 

おわりに:病院ではぐっすり眠れない人に睡眠薬、うつの人に抗うつ薬、高血圧の人には降圧薬。そしてストレスを感じる人にもすぐに精神安定剤が処方される。しかし、もう、そろそろ、医療のあり方を真剣に考えるときだ。病気の原因の解明と予防に力を入れ、みんなが健康で生活するためには、社会のシステムそのものを自然のリズムに合うように変える必要がある。Dr Kunzの意見に賛成だ。

    (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie