白人系とアジア・黒人系:ガンの発生率は、なぜ違う? (BBC-Health, Mar2, 2022)
人種によってガンの種類やその発生率が違うものだろうか。この疑問に答えるために「The Cancer Research UK」の Dr Katrina Brownらの研究グループが、2013− 2017年の間にUKでガンと診断された患者のカルテ約300万件のデータを分析し、次の結果を得た。(研究内容の詳細は「The British Journal of Cancer」に発表。)
1.人種間の違い
総じて、白人系のガンの発生率が高く、アジア系、黒人系、混血系のガン発生率は白人に比べて
・アジア系:- 38% (減少率)
・黒人系 : - 4%
・混血系 :- 40%
2.ガンの種類別
・皮膚ガン (melanoma)、食道ガン、膀胱ガン:白人の発生率は、アジア系・黒人系・混血系に比べて200%以上
・胃ガン、肝臓ガン:黒人系で発生率が高い傾向にある
(なお、これまでの研究で、黒人系は白人系に比べて前立腺ガン、血液のガン(骨髄腫)の発生率は、それぞれ200%、300%高いことが分かっている。)
・ウイルス性肝炎に起因する肝臓ガン:アジア系に多い
3.肥満とガン発生率との関係
UKの小学生の肥満度 (2020- 2021年現在) を人種別でみると
・白人系 :25%
・アジア系:30%
・黒人系 :35%
肥満の子どもたちが成長して大人になったとき、ガンを発症する確率が高くなる可能性がある。
4.人種によってガンの発生率が異なる理由
ガンの発症リスク要因には
・年齢
・遺伝子
が含まれが、その他にも
・ガン検診(screening)
・子宮頸ガンワクチンなどの予防接種
・健康的な生活スタイルを維持するためのサポートシステム
のレベルが深く関与する。
なお、黒人系・アジア系の喫煙率は低い。このことが「lifestyke cancers (生活スタイル ガン)」と呼ばれる
・大腸ガン
・乳ガン
・肺ガン
の発生率が白人系に比べて小さくなる原因の一つと考えられる。
いずれにしても、UKで発生するガンの約40%は、生活スタイルを見直すことによって予防可能という。
おわりに:この数年間、世の中は、中国武漢で発生した Covid-19で振り回された。ただし、コロナが蔓延して、ガンが消えたわけではない。ガンの予防は肥満、飲酒、喫煙などの危険因子をできるだけ排除することにつきる。
(写真は添付のBBC-Newから引用)