読書には 7つの恩恵あり!:それでも国語、本が大嫌い? (RTE-News, Mar 3, 2022)
専門書は別にして、読書の対象となる本と言っても、その内容は色々。
・fast-paced thrillers:テンポの早いスリラー
・murder mysteries:殺人ミステリー
・fascinating memories:心ひかれる思い出話・紀行文
・dragon-filled fantasy novels:ドラゴンが続々登場するファンタジー
どれも、読む人に深い喜びを与えてくれるものだ。
本は、一瞬にして、あなたを遠い未知の幻想の世界に連れていき、日常のわずらわしさから開放され、時間さえ忘れさせてくれる魔法の道具。
本を読むと、次の7つの恩恵にあずかるという。
1.Stress relief:ストレスから開放される
心理学者の Dr Meg Arrollによると、本を読み始めると、ストーリーの展開が気になり、目は紙面に集中し、心はドキドキ、ワクワクの連続となる。そんなときは、ストレスの原因となっている、現実の「押しつけがましい、くどくどした悩み事 (intrusive and repetitive thoughts)」から開放されているもの。
気分の落ち込み (low mood)、うつ病’ depression)などの精神疾患さえ、症状の改善が期待できる。
また、「子どもにはベッドに入る前に本を読んであげるように」と、Margareta James教授は勧める。子どもとのきずなを強くし、子どもが子どもなりの不安や悩みを抱えていたとしても、楽しい本の世界に逃れることができるからだという。
さらに、「Calmer, Eeasier, Hppier Parating」の著者 Noel Janis-Nortonによると、読書が好きな人(子ども、若もの、大人に関わらず)には、悲しみ、怒り、不安、ねたみ、失望に陥ったとき、そのような状況から脱出できる天性が認められるとのこと。
2.Increases empathy:共感力をはぐくむ
悲惨なノンフィクションであれ、心がワクワクするフィクションであれ、本を読み進めると、登場する人物の性格、苦闘、他人との関わり合い、感情変化を知ることとなり、人の生き方に対する「unique insight (独自の洞察力)」が磨かれる。
人間が他人の心を推しはかる能力は、心理学で「theory of mind (心の理論)」と呼ばれる機能だ。「社会的なきずな (social relationship)」の質を高めるために必要な働きとも言える。
3.Emotional awareness:感情認識
子どもにとって本を読むことは、他人に対する「同情心 (sympathy)」をはぐくむために重要。James教授によると、子どものときは、自分の感情を言葉で表現するのが難しいもの。本を読むことで、「自己認識 (self-awareness)」が生まれ、喜怒哀楽の感情を共有する「empathy (共感)」力が育まれる。また、本をとおして、人の心と、その心の表現の仕方を学ぶのだという。
4.Social bonds:社会的なきずな
空想的なアドベンチャー・ストーリーに、邪悪な悪魔との戦い。子どもが本の中で、これを初めて経験すると、強烈な衝撃を受ける。その話の内容を誰かと語り合うことで「social bonds (社会的なきずな)」を深め、「socio-emotional skills (社会的・情緒的スキル)」が上達する。
5.Bibilotherapy:読書療法
自己啓発的な本・小説には、人生を変えるほどの力がある。心身の健康維持に関する情報を与えてくれる他、危機的な状況にあっては、ものの見方 (perspective)を変えてくれる。
「bibiliotherapy (読書療法)」とは、自ら抱えている問題点を明らかにし、その解決方法を探るために必要な
・information:情報
・support:サポート
・guidance:ガイダンス
を本の中に見出そうとする取り組みだ。
6.Cognitive skills:認知能力
Ms Janis-Nortonによると、なんでも上手にこなせて、自信にあふれ、それに加えて読書好き。そんな子どもは、学習に意欲的で、記憶力がよく、学校が大好き、そして成績優秀だ。
本を読むことによって、探究心が旺盛になり、語彙力、記憶力、集中力、再話能力が高まるからだという。
7.Self-esteem and confidence:自尊心と自信をはぐくむ
本を読むと、新しいチャンスが開かれ、自尊心 (self-esteemと自己イメージ (self-image)の発達を促すことにつながるという。
その上、子どもたちは、本の中で、社会を生き抜くための知恵 (social skills)、共感、善悪の判断などを学び、無意識的 (unconsciously)に、本の中の人物の生き方を学校生活のお手本として取り入れようとする。
おわりに:国語が大嫌いな子ども、読書の大嫌いな子どもが多い。教育空間のどこかに、修復し難い亀裂・歪があるせいだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)