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川よ、好きな方向に流れて行け!:農地を氾濫原に戻すプロジェクト (BBC-Science, April 27, 2021)

Field at Cotehele to become wetland

 稲作が盛んな東南アジアや日本などと違って、ヨーロッパの沼地・湿地帯は、「二束三文」の格安不動産だ。

 England南西部の CornwallとDevonの境界を流れる「River Tamar (テイマー川)」に沿った湿地帯 (wetland)は、そんな「low-grade land (二束三文の地)」だった。

 

 ところが、ビクトリア王朝時代の1850年、この土地に目をつけた誰かが、川端に土手を築き、湿地を開墾して農地とした。そして、現在まで、ずっと牛の放牧地として利用されてきた。

 しかし、地球温暖化で異常気象が続き、UKの河川は氾濫が相次ぐようになった。

 

 そこで、自然保護団体「The Natural Trust」は、広さ 1.7haに及ぶ、その低い農地を買い上げ、もとの湿地帯に戻すプロジェクを開始した。

 およそ170年前に、むりやり川の水流をせき止めて開墾した農地を、自然な「氾濫原(flood plains)」にすると、

 

・川底の泥が氾濫原に沈殿し、川の水がきれいになる

・泥の中に炭素(carbon)を閉じ込めることができる

・カワウソ (otters)などの野生生物 (wildlife)の生息環境が整う

などのメリットが期待できる。

 

 すでにプロジェクトの第1段階として、低地に川の水を誘導する「channels (水路)」の建設に着工。今年の下半期には、第2段階として、19世紀に築かれた古い「土手(embankment)」を取り壊す作業に入る予定だ。

 これが済むと、川の流れは「encroach naturally (流れるままに土地を潤す)。

 

 Coast & Marine Adviserの Mr Tony Fluxによると、『持続可能を目指すなら、自然に逆らうよりも、自然に寄り添うことだ。古い土手の修理を続けるとなると、それは「never-ending task (決して終わることのない作業)」となる。今、取り組もうとしていることは、川を自然のままに流れさせることだ。』

 

おわりに:河原に建物 (物置小屋や住宅など)を建てると危険だ。しかし、勝手に河原を開墾し、畑地にしたり、住居に利用している人は少なくない。やがて、欲が高じて土手を築き、川の流れを変えようとさえ試みた。それは、自然の摂理に背くことだ。天は大雨を降らせては川を氾濫させ、怒りを伝えようとしているのかも知れない。

    (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com