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絶滅寸前の幻の魚「トウェイト・シャッド」:再び姿を見せた! (BBC-News, May 7, 2021)

Twaite shad

 海辺や川の近くに集落をつくると、出漁、水の便に有利だ。しかし、海も川もいったん荒れ出すと、人間の知恵も力も及ばなくなる。

 昔から、「水を制する者は国を制す」とされ、戦国、江戸、明治のいずれの時代にも、古今東西のあらゆ治水技術・知恵と自国の財力の限りを尽くして、河川の氾濫防止に血眼になって奮闘してきた。

 

 事情はUKとて同じ。ただし、19世紀、生半可な河川工学の識者の言うままに、川の流れをコントロールできると信じた行政関係者は、数多くの堰(せき)やダムを建設した。

 Swansea大学の調査研究によると、UKの99%の川(rivers)は

・weirs:堰(せき)

・dams:ダム

・hydropower structures:水力発電施設

・culverts:排水溝

などの「人工障壁 (barriers)」で、ズタズタになった。

 

 その堰やダムの建設で、土木関係業者は潤ったかも知れないが、そんな堰・ダムで川の氾濫を防ぐことができたか。答えは明らかに「NO」だ。毎年のように、繰り返される大小河川の氾濫を見る限り、とても、19世紀の河川工学が十分に役立っているとは思えない。

 

 そればかりか、堰・ダムの建設によって、自然もズタズタになった。鮭,ヤツメウナギ (lamprey)、ウナギ (eels)などの回遊魚 (migrating fish)は、上流に遡(さかのぼ)れず、その個体数は激減した。

 さらに、そんな回遊魚に、pollution (水質汚染)、overfishing (乱獲)が追い打ちをかける。

 

 回遊魚の一種「twaite shad (トウェイト・シャッド)」も、堰・ダムの犠牲になった魚だ。この魚はニシン科 (hering family)に属する海水魚で、春になると海から川を遡って上流域に産卵する習性がある。

 かっては、ヨーロッパ全土の川で広く見られ、庶民はよく食べた魚だった。ところが、今では、この魚の名前すら知らない人が多くなったという。

 

 そこで、UKでは The Canal & River Trust, Severn River Trust, Environmental Agency, Natural Englandが共同で「River Severn (サヴァーン川)」に「回遊魚」を呼び戻す「Severn Project (サヴァーンプロジェクト)」を開始した。

 

 このプロジェクトでは、堰(weirs)の周囲に「fishing passes (魚道)」をつくって、遡上する魚の便を図る作戦だ。Diglis Lock on the River Severn

 この 5月、自然保護団体政府関係機関の努力が実ったことが証明された。UKの西部を流れ、UKで最長の河川「River Servern (サヴァーン川)」(全長 354km)のWorcester (ウスター)北部の一帯で、幻(まぼろし)の魚「twaite shad (トウェイト・シャッド)」が夜になって産卵する際の「水しぶき (splashing)」が確認されのだ。

 

おわりに:そもそもヒト族(Homo)に、この地球を支配し、他の生物を絶滅に追いやる権利などあるのだろうか。人間も地球上に生きる生命体の仲間の一部だ。その生命の連鎖の鎖を破壊すると、とんでもないしっぺ返しが待っていることを忘れてはいけない。

 

(写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com