2,000年前の精巧な「アナログ・コンピュータ」:復元に成功! (BBC-Science, March 12, 2021)
BC100年頃、すでに精巧なアナログ・コンピュータがつくられていた。
ことの発端は、1901年、ギリシャの「Antikythera (アンティキティラ島)」の近海に沈んでいたローマ時代の難破船。そこから、不思議な青銅の塊が発見される。
それを引き上げて、よく調べてみると、82ヶのパーツが複雑に組合った機械装置 (device)だった。現在、「Antikythera Mechanism (アンティキティラの機械)」と呼ばれているものだ。
どうやら、発見されたのは装置全体の約1/3だけで、その後、いくら探しても、残りの約 2/3は見つからなかったという。
このため、この機械装置がどのような機能をもっていたのかについては、これまでよく分からなかった。
そこで、「University College London」の Tony Freeth教授らの研究グループは、この装置に刻まれた説明文らしき文書、X線断層撮影データ、古代ギリシャの天文学に加え、3-D コンピュータ・モデルに基づく研究を進めた結果、謎とされて来た「Antikythera Mechanism (アンティキティラの機械)」の、前面の表示盤を含む全体像と、その機能を復元することに成功した。(研究結果は科学雑誌「Scientific Reports」に発表)
なんと、この装置は、BC100年頃のギリシャの天文学、数学の粋(すい)を集めて製作された「astoronomical calculator (天文学計算機)」であり、人類史上、初めての「analogue computer (アナログ・コンピュータ)」であった。
手動のクランクを動かすと、56ヶ(?)の歯車が動き出し、太陽と月の動き、それに他の 5つの惑星 (水星、金星、火星、木星、土星)の運行が予測できるように設計され、当時、不吉の前兆と恐れられていた「日食」と「月食」が、いつ起こるのかが明確に示されるようになっていた。
おわりに:天体の運動を計算する精巧なアナログ・コンピュータをつくるためには、高度な数学、天文学の知識が必要だ。その知識レベルにも驚くが、この装置を作り上げた職人の、並外れた金属加工、組立て技術の高さには、ただただ驚嘆するばかり。むかしの人は、やっぱり偉かったのだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)