雪･吹雪は天からの「ありがた物」：それとも「やっかい物」？ (RTE-News, Dec 7, 2020)
カナダの冬の夜半に、雪が降ると、朝の雪かきが大変だった。自宅の周りの歩道の雪かきが義務づけられていたからだ。急いで朝食を済ませ、大学の研究室に向かう前に、一汗も二汗もかいた。朝の準備運動としては、十分すぎるほどだった。
さて、北極圏に近い Scotlandの一部では、雪の降る明け方、突然、爆音が轟くという。豪雪 (heavy downpours of snow)が引き起こす「thundersnow (雷雪)」だ。これに驚いて警察に電話する人も現われるとか。
RTEは、人々にあまり知られていない「雪にまつわるエピソード」七点を以下に紹介する。
１．Snowflakes aren't actually unique
空からヒラヒラと落ちてくる「snowflakes (スノーフレーク、雪片)」には、「２つとして同じものがない (no two snowflakes are ever identical)」とも言われるが、それは違う。
USの Northeastern大学が雪の結晶を調べた結果、結晶パターンは基本的に 8種に大別され、さらに 39のサブ･カテゴリーに細分化されることが分かっている。
２．Snow isn't really white
地上に降り積もった新雪は、遠くから離れて見ると「pure white (真っ白) 」。これは、光が雪の結晶面で反射されるためだ。しかし、近づいて虫眼鏡で見ると、雪は「translucent (半透明)」であることが分かる。
そうかと言って、今になって「White Christmas」を「Translucent Christmas」と言い換えたら、サンタも困ってしまうに違いない。
３．Snowflakes can get really big
伝説 (legend)によれば、Montanaの Fort Keogh (フォート･キーオ)で「milk pans」ほどのスノーフレークが降ったという｡ただし､それを裏付ける証拠写真は存在しない｡
一方､ペーパー･クラフトの「paper snowflakes」については､2019年の Chirista Hansenの作品 (大きさ6.1m)が、ギネスブックに最大と認定されている。
４．Igloos can be very warm indeed
カナダ北部に住むイヌイットは、狩りに出かけたとき、圧雪ブロックを半球状に積み上げたシェルター「Igloos (イグルー)」を造って、仮の住まいとした。その内部は 2段になっていて、火を焚くと、外気温は氷点下でも、イグルーの中は 20℃。
その秘密は、圧雪ブロック中の無数の「air pockets (エア･ポケット)」にある。これが「insulator (断熱材)」の役目を果たした。また、イグルーの天井には通気孔と明かり窓が設けられ、上段の居間は暖かくなるように設計されていた。
５．Not every sowstorm is a blizaard
雪が降り出し、さらに風が吹き出すと、「ふぶき (snowstorms)」になる。やがて息ができないほど、吹雪(ふぶき)の勢いが増すと「blizzards (ブリザード)」だ。
「The National Snow And Ice Data Center (米国立雪氷データセンター, NSID」によると、「風速 56km/h (15.6m/s)以上、視界400m以下」の状況が少なくとも 3時間続くとき「blizzard (ブリザード)」と判定される。
なお、強風を伴う吹雪であっても、それが短い時間続くときは、「snowburst (スノーバースト)」と呼んで区別している。
６．A town tried to make snow illegal
これはユーモアか、それとも少々思い上がったUSの行動か。1992年3月、ニューヨーク州の町Syracuse (シラキュース)の住民は、あまりの豪雪に耐えかね、天に向かって「これ以上、雪を降らすのは、明らかに違法行為」との決議案を採決した。
もちろん、そんなことが天に届くはずがない。その冬も、記録的な雪が降ったという。
７．Nearly 9,000 snow angels broke a world record
フワフワの新雪の上に寝転んで空を見上げると、気持ちがはればれする。そして、手足をバタつかせると、雪の上に「snow angels (スノー・エンジェル)」マークができる。
2007年 2月、North Dakota (ノースダコタ州)の Bismarck (ビスマーク)で、8,962人が参加した、「snow angels」のギネスブック記録に挑戦するイベントが開催され、みごと新記録を達成した。
おわりに：雪が庭にそっと舞い降りる景色は美しい。しかし、吹雪やブリザードは、まるで、髪を振り乱して荒れ狂った「雪女」そのものだ。雪女は怖い。
なお、人を魅了してやまない雪の結晶に興味のある方には、次の一冊を勧める。
・Kenneth Libbrecht & Patricia Rasmussen: The Snowflakes- Winter’s Secret Beauty, Voyageur Press, 2003
(写真、動画は添付のRTE Newsから引用)
