イギリスの海が「黄色」だって?:EUもびっくり! (BBC-News, Nov. 8, 2020)
政治の世界はもちろん、一般社会からも「品行方正」、「清廉潔白」の 4文字はほとんど絶滅した。余りにも現実からかけ離れている言葉だの声も聞かれる。
代わりに、人々が好んだのは「水清ければ魚棲(す)まず」だった。「清廉すぎると、周りの人が親しみを持てず、かえって孤立してしまう」と言う意味だ。
このことわざをスローガン(旗印)に持ち出して、かっては、下水(汚泥)の海洋投棄 (open sewers)が、ずいぶんと大ぴらに行なわれたものだ。時間が過ぎ去り、さすがに、もう、先進国ではなくなったものだと思っていた。しかし、事もあろうに、なんと、あのジェントルマンの国 UKで公然と実施されていた。これには、正直、あ然とした。
環境保護団体「Surfers Against Sewage, SAS」の調査によると、この12ヶ月間で、未処理の下水が、England、Walesの海域に投棄された件数は約2,941回。どうやら、UKではインフラ整備が遅れ、未だに、旧式の「合流式下水道システム (生活排水、雨水、下水を一緒に流す下水道方式)」を採用しているようだ。
この下水道方式では、豪雨や嵐に見舞われて、下水処理場の処理能力が限界を超えると、下水、生活排水が一般家庭に逆流する恐れが出てくる。それを避けるため、下水管理会社は、未処理の下水を密かに海洋に投棄しているのだ。
当然、海はとんでもない汚物で汚染され、bathers (海水浴客)やsurfers (サーファー)は極めて不衛生な状況に置かれる。とくに、「胃腸炎 (gastroenteritis)」、「激しい腹痛 (severe abodominak pain)」を起こしかねない危険地域はイングランド南部の
・Bournemouth(ボーンマス)
・Harazion(マラジオン)
・Mwnt Beach
Scarborough (スカボロー)のサーファー Mr Steve Crawfordは次のように証言する。
” I’ve surfed with chip dye giving me fake tan and gobs of grease smearing may board.”
[ (不潔極まり、和文については掲載不可。ご容赦を乞う。)]
SAS Chief Executive (SAS最高顧問)の Mr Hugo Tagholmは、「下水道管理会社は、環境保護をほったらかしにして、利潤だけを追い求めていると批難する。
これに対して「Southern Water」は次のように、ちぐはぐ、間の抜けた回答をするだけ。
” It is investing £1.7bn in its wastewater network.”
[ 我社は下水道網の整備に17億ポンド (約2,300億円)を投資している。]
私見だが、これでは、泥棒、殺人の理由を問われた罪人が、「これまで、交通費に£17を使った」と、薄らとぼけたことを言って、その所業をごまかすのに等しい。
おわりに:イギリス人はユーモア (humor)、皮肉 (irony)がお好きなようだ。「Bournemouth (ボーンマス)」と言えば、UK南部のリゾート都市。2007年には『UKで最も幸福な街』に選ばれている。その海の色が青ではなく黄色に染まっているとは ......。EUの観光客も、頼まれたって、願い下げだろう。
なお、「水清ければ月宿る」とのことわざもある。こちらが性(しょう)にあっている。
(写真は添付のBBC Newsから引用)