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「もの選びの錯覚」:好き嫌いの判断は、思いの外いい加減! (BBC-News, Oct 3, 2020)

Subject choosing between photos of two women

 人には、それぞれこだわりがある。納豆・ピーマン大嫌い。「巨人」以外のTV放送は観ない。そして、さしずめ USだったら、なにが何でも「トランプ支持」。

 しかし、その好き嫌いの選択は、頭の中で本当に吟味されたものだろうか。あるいは、選択の理由が明確にされたものだろうか。あんがい、とんでもない「思い違い」をして「自分はこうだ」と決めつけている可能性がある。

 心理学では、これを「choice blindness (選択盲)」と呼び、「内省的錯覚 (introspection illusion)」の一種として捉える。いわゆる「もの選びの錯覚」だ。

 

 ただし、人間は、たとえ「錯覚」だろうが、「思い違い」だろうが、一度こうと決めたら、それに固執し、自分の選んだ理由を都合よく組み立てる傾向がある。「どれにしようか」と思い迷う人の心は、本当は、流動的で、脆(もろ)く、危ういものなのに.......。

 

 SwedenのLuden大学の Dr Petter Johanssonらの研究グループは、学生にアンケート調査を実施し、人間の心が「もの選びの錯覚(choise blindness)」によって、いかに左右されているのかを明らかにした。 

 Dr Johanssonらは複数の学生にアンケート用紙を渡し、その場で、「燃料税の引き上げ」や「医療給付の削減」など十数項目の賛否欄にチェックをしてもらった。これらのアンケート項目は、いずれもSwedenの国民の間で、左派と右派に2分する論争になっている問題だった。

 その後、すぐに左派と右派の意見を持つ学生に、記入してもらったアンケート用紙を返した。ただし、左派の学生には、密かに、右派の学生が記入したアンケート用紙を、右派の学生には、左派の学生の記入したアンケート用紙を返して、なぜ、あなたは、そのように記入したのかと、理由を尋ねたという。

 すると、驚いたことに、アンケートで答えた自分の意見とは全く違う結果を手にして、学生のほとんどは、アンケートに記入された意見に沿って、長々と、もっともらしく、その理由を説明したのだ。

 

 この心理学的な実験は、人の心の脆さ、とくに「friability of political opinion (政治に関する意見の脆さ、危うさ)」を見ごとに証明している。

Donald Trump and Hillary Clinton taking part in a presidential debate in 2016

おわりに:これは、老人を騙(だま)す「オレオレ詐欺」の手口に似ている。この手を「洗脳」、「選挙」、「警察の被疑者に対する尋問」に使ったら、恐ろしいことになる。とくに動揺したときや慌てふためいたとき、人の心は、その「選択の理由」も含め、いかようにも変えられることになるからだ。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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