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UKの水道事業 民営化:水不足を招いて、危機的な状況! (BBC-Sci & Env, July 10, 2020)

Tap

 かって、国鉄、郵便局、電電公社を次々と民営化 (privatisation)し、「社会基盤事業(influstructures)」の効率化を図った。

 それは、UKとて同じ。1989年、国の水道事業が民営化されて30年以上が過ぎた。水道事業は、複数の民間会社の手に委(ゆだ)ねられて、その後、その水道インフラは、順調に機能しているのだろうか。

 答えは「NO!」だ。

 民営化は、ときの政府あるいは政治家による複雑怪奇な利権争いと覇権争いの中で決定されるが、後になって、国民はとんでもない尻拭いをさせられることが多い。 

 さて、「The Public Accounts Committe (英国会計検査委員会PAC)」が、このほど まとめた報告書によると、現在、EnglandとWalesで消費されている上水道の水量は1日当たり約140億リットル (約1,400万トン)。ただし、その1/5 (約280万トン)が漏水となって、誰にも使われることなく、ただ川に流れ込んでいる。

Low reservoir

 原因は、水道管の老朽化と、水道事業を管理、監督し、インフラ改善に取り組むべき「The Department for Environment, Food and Rural Affairs (環境・食糧・農村地域省 Defra)」の「too ponderous (仕事の余りののろさ)」にある。

 

”Defa has failed to lead and water companies have failed to act.”

[ 当局Defaは (水道事業会社) の指導に失敗し、水道事業会社は (インフラ改善に向かって) 行動することに失敗して来た。]

 

と、PAC委員長の Meg Hillier MPは糾弾する。

Burst water

 なお、UKの水道事業会社の中でも、「Water UK」が管轄する地域では、水道の使用量が約20%増になり、「Yorkshire Water」は、貯水ダムの水位が基準以下に下がった。「Thames Water」は、各家庭に雨水を貯める「water butts (天水桶)」の設置を推奨する始末だ。他の水道事業会も、住民に対して芝生への水やりや洗車を制限し始めた。

 この報告書に対し、政府は「すでにインフラ改善プログラムをスタートさせている」と、口先だけの言い訳に終始する。

 しかし、今すぐ、抜本的な水資源インフラ整備に力を入れないと、UKは今後20年以内に深刻な水不足に陥る恐れが出て来た。

 老朽化した水道インフラの改善には、巨額の資金が必要だ。EU離脱、コロナ騒動で、経済がどん底に落ち込んでいるUKに、今、その資金も力もあるだろうか。

 

おわりに:経済界と密接につながっていないと、政治家は生きて行けないし、政治を動かせない。しかし、だからと言って、企業・事業体が起こした事故の後始末を、国 (国民)に肩代わりさせるなど、本末転倒だ。福島第二原発事故は電力会社の責任であって、その事故処理に莫大な国費 (税金)を当てることには正当性を欠く。

 また、政治献金を気にして、電力、建設関連のインフラ整備会社に適切な指導を怠っては、不正な「癒着」を疑われても仕方がない。

   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com