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湖水地方いじめのUK政府:これは福島いじめと同じではないか! (BBC-News, July 7, 2020)

View from Maryport

 福島は、地元で消費するわけでもない、首都東京他に送る電力をつくるために、原子力発電所の建設を余儀なくされ、2011年3月の事故では住民、家屋、田畑・山林、海域も放射能に汚染され、さらに大量の汚染土壌の保管まで強いられた。

 確かに、エネルギーは産業の発展と都市住民が快適に暮らすために欠かせない。しかし、原子力発電所であれ、石炭火力発電所であれ、多くの場合、その建設に当たっては、現場海域の埋立や浚渫作業が必要となり、その建設工事海域はずいぶんと汚れ、自然破壊が起こる。

 それでは、再生可能エネルギーの1つ風力発電 (wind power)は、本当に「自然に優しい (nature-friendly」のか。この質問に対し、躊躇せずに「Yes」と答えるのは、電力関連会社の仕事人。そして、多くの渡り鳥が犠牲になっていることをひた隠しにする。

 もしも、あなたの町、あるいは自宅の前に、高さ100mを超える巨大なタービンタワーが立ち並んだとしたら。そのとき、それでも、それは「エコなエネルギー」のためと、静観できるだろうか。

 また、いくら強い風が吹いて適地とは言え、景勝地として名高い「松島」や「鳥取砂丘」に風力タービンを建てることなど、誰も賛成できないに違いない。

 では、どこであれば、皆が納得できる場所なのか。そもそも、そんな巨大タービンを設置できる海岸・沿岸、沖合など日本にあるのだろうか。

 まさに、これと同じような問題が、UKの「Cumbria (カンブリア州)」西岸の町 Maryport (メアリィポート)と Sellafield (セラフィールド)の区間で起きている。巨大な洋上風力発電ファームの建設計画の賛否をめぐって、地元住民の意見はまっぷたつに分かれる。

 Cumbriaと言えば、Scotlandとの国境に位置し、風光明媚な「湖水地方」として有名で、その自然公園には多くの観光客が訪れる田園地帯だ。

 一方、Sellafield (セラフィールド)はUKの原子力開発の拠点。日本の使用済み核燃料のほとんどが、密かに船でこの地に運ばれては、再処理工場に回された。

 そのすぐ近くの「Walney island (ウォルニー島)」の西 14kmの沖合には、すでに、原子力発電所と同規模の洋上風力発電ファーム「Walney Wind Farm」が稼働している。高さ150mのタービンタワー189基が生み出す電力は、最高出力約66万kw。

 UK政府は、2025年までに「greenhouse gas emissions (温室効果ガスの排出量)」をゼロにする計画だ。そのためには、Cumbriaの沖合に、もっと巨大な「Wind Farm」を建設したい考えのようだ。そのプロジェクトの内容は、極秘。詳細については、ほとんど公表されていない。

 しかし、UK沿岸の海底の管理権をもつ「The Crown Estate」が、地元住民との間で交わす「海底の借地契約」の交渉に入っているとか。

 なお、「Nuclear and Energy Board (英国原子力・エネルギー委員会)」委員の Mr David Mooreによると、『新規の洋上風力発電タービンに比べると、今、唸りを上げている「Waley」のタービンなど、ほんの「Babies」に見えるだろう。』と、そのスーパーぶりをほのめかす。

 Sellafieldは、これまで幾度となく原子力発電設備の事故や放射能漏れ事故を繰り返しては、放射能によって海洋を汚染し続けた場所だ。近隣の住民にとって、さすがに、原子力はもうコリゴリのはず。けれども、今度は、「これでもか」と言わんばかりの巨大タービンの唸りに悩まされることになるとは。

 

おわりに:権力の持たない地方の弱者は、どこまでも、巨大資本のエネルギー会社や強大な権力を一手に握る政治家にいじめられるばかりだ。残念なことに、「ヒト属(Homo)」の進化に当たって、人類愛や倫理感は、ほとんど発展を遂げなかった。

 

  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com