ゴミ・廃棄物で汚れ、酸欠になった海:マグロ・カジキは大弱り! (BBC-Science & Environment, December 7, 2019)
生活が豊かになり、エネルギー大量消費、日用品の使い捨てが当たり前の社会になり、どこの市町村も、ゴミで溢れかえるようになった。神聖な泉・湖、河川が穢(けが)され、海は廃棄物の溜まり場となった。
目先の利益・金儲けしか考えない企業は工場の排水を希釈して川・海に垂れ流し、農家はふんだんに肥料・農薬を大地にばらまいた。
海は窒素酸化物・リンなどの化学物質で富栄養化となって赤潮・アオコが大発生し、その一帯の海域は、酸素不足で魚が住めなくなった。さらに高濃度のCO2が海水に溶け込んで海の酸性化を引き起こし、珊瑚の一部は全滅した。
これに、気候変動が追い打ちを掛け、海水温度を上げる。こうなっては、どんなに懐(ふところ)の深い、寛容な海洋と言えども、「酸素欠乏 (oxygen depletion)」に陥る。
それは、まるで、金魚が酸素を求めて、苦しそうにパクパクして水面に浮かぶ、汚れた水の金魚鉢のようすだ。
IUCN (国際自然保護連合)の調査によると、1960-2010年の50年間で、世界の海水の溶存酸素は平均 2%減少した。ただし、海水温度の高い熱帯地域における溶存酸素の減少幅は40%に上る。
結局、酸素が少なくなって喜ぶのは、「jellyfish (クラゲ)」だけだ。マグロ (tuna)、マカジキ (marlin)、サメ (sharks)などの大型の魚は、泳ぎ回るのに多くの酸素を必要とするため、海水中の溶存酸素が薄くなるのは深刻だ。少しでも酸素を摂ろうと、酸素濃度の高い海水面付近を回遊し始めた。浮上すると危険があることを知ってはいても.........。
各国が、これまでのようにCO2を排出し続けると、海水の溶存酸素は2100年までに、さらに1-2%減少すると推定されている。
海水面から深度約1,000mまでの海水層は、生物の多様性に富み、多くの海洋生物にとって貴重な生息空間だ。この海洋空間がプラスチック・ゴミや窒素酸化物・リンで汚染され、おまけに海水の酸性化、温水化、酸素不足と、矢継ぎ早に環境破壊が起きては、珊瑚もマグロ・マカジキも、生きて行けないに違いない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)