交通事故で頭を損傷すると:認知症の発症リスクが高まる! (BBC-Health, April 11, 2018)
認知症 (dementia)は、Alzheimer's (アルツハイマー病)と同じように、脳の神経細胞に異常を来す「脳疾患(brain diseases)」だ。世界の推定患者数は4,700万人。今後20年間で、この数値は2倍に膨れ上がると予想されている。
その原因の1つとして、転倒(falls)、自動車事故 (motor vehicle accidents)、暴行事件(assaults)などで頭に受けた「Traumatic Brain Injuries (外傷性脳損傷TBI)」の疑いが持たれている。
そこで、「The University of Washington School of Medicine (ワシントン医科大学)」のJesse Fann教授らの研究グループは、デンマーク居住者280万人の協力を得て、36年間に及ぶ「認知症とTBIとの関連性」に関する研究を進めた。
その主な結果は次のとおり。(詳細な研究結果は「The Lancet Psychiatry」に発表)
1.軽いTBI (外傷性脳損傷)であっても、一度、頭部に受けると認知症の発症リスクは、TBIをまったく受けなかった人に比べて、17%増加する。また、TBIの頻度、脳損傷の程度が大きくなると、認知症の発症リスクはさらに増大する。
2.認知症の発症リスク増は脳にTBIを受けたときの年齢によって異なり、若いときに脳損傷を受けると危険だ。
・30代でTBIの事故に遭った人:37%増
・50代でTBIの事故に遭った人: 2%増
ただし、この数値は、あくまで、TBIの事故に遭った人と遭わなかった人との相対的な比率だ。Fann教授によると、実際にTBIの事故に遭っても、それが直接の原因となって認知症が発症する確率は約5%。もちろん、データはデンマーク人に限られるため、解析結果を一般化して、他の国に当てはめるわけにはいかないという。
専門家は、むしろ「smoking (喫煙)」、「sedentary lifestyle (運動不足の生活スタイル)」などの方が認知症に深く関与していると見る。
なお、「Alzheimer's Research UK」のDr Carol Routledgeは、いつまでも脳を健康に保つコツとして、次の3点を挙げる。
・healthy diet:健康な食事
・drinking in moderation:お酒は、ほどほどに
・no smoking:禁煙
(写真は添付のBBC Newsから引用)