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インフルエンザ・ワクチン:これは楽チン、パッチで張るだけ! (BBC-Health, June 28, 2017)

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 この病気は1743年、イタリアで大流行し、またたく間にヨーロッパ全土に広まった。インフルエンザ (influenza) のことだ。単に「flue」とも呼ばれる。もともと「influenza」とは、イタリア語で「epidemics (流行病)の突発」を意味したが、このときの flueの大流行のお陰で、すっかり英語の「病気の名前」になってしまった。

 日本では、毎年、約1,000万人が感染し、「complications (合併症)」で亡くなる人を含めると、その感染死亡者は約 1万人と推定されている。イギリスでも例年600人、USでは約数万人が命を落とす怖い病気 (disease) だ。
 例年、雪が降り始めるころになると、その予防接種が勧められる。しかし、病院に出かけて、そこで「flue」の病原菌に感染しかねない。また、あの注射を腕に打つと、その後数日、赤く腫れて、痒みを伴うこともある。

 ところが、その注射もやがて消えそうだ。絆創膏のように、パッチを手に張るだけの、インフルエンザ・ワクチンが開発されたのだ。開発に当たったのは、「Georgia Institute of Technology (ジョージア工科大学)」の Mark Prausnitz 教授と「Emory University (エモリー大学)」の Nadine Rouphael 准教授らの研究グループ。
 ワクチン・パッチは sucrose (スクロース) と polyvinyl alcohol (ポリビニルアルコール) で作られていて、その表面に 1 mm以下の極微針 (micro-needles) 100本が埋め込まれている。これを腕に 20分間張り付けるだけで、ワクチン接種 (flue jab) は完了。痛みはほとんどなし。

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 このワクチンの特徴は、40℃の場所で1年間の保管が可能、したがって保管用の冷蔵庫は必要ない。さらに安価で製造でき、注射針のような医療廃棄物を出さない。パッチの極微針は自然に分解するため、使用後はゴミ箱 (bins) にそのまま捨てることができる。
 子どもでなくとも、誰でも注射は嫌いだ。Dr Rouphael が語るように、メールで注文し、家庭やオフィスで気軽にワクチン・パッチを張る日が来るのも夢ではなくなった。

 ワクチン・パッチの安全性を確認する臨床試験は、ボランティア 100人の協力を得て実施され、一部の被験者に「tenderness (圧痛)」が見られたが、数日でそれも消えたという。
 「adverse events (有害事象)」や「antibody response (抗体反応)」も認められず、ワクチンの効果は、従来の「needle-and-syringe methods (皮下注射針接種)」と同じ。
 なお、この研究結果の詳細は、医学雑誌「Lancet」に発表された。

 ただし、残念なことに、このパッチが一般に出回るまでには、まだ4,5年は掛かる臨床試験が必要とのこと。

 この一文をまとめるに当たって「the guardian」の次の記事も参考にした。BBC同様、そのリポート力はずば抜けている。
Dissolvable patch offers radical pain-free alternative to flue injection, study finds. June 27, 2017

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com