子どもの背の高さが20cmも違う:栄養が良い国、悪い国! (BBC-Health, Nov. 6, 2020)
ちび、のっぽ、痩せっぽに太っちょ。どうでも良いようだが、子どもにとっては、深刻な悩みの種になりかねない。昔から、背の高い男の子は、女の子にモテるとされていたし、太っちょも、度が過ぎると、跳び箱がとべない。
思春期の多感なときに、背が低く、太りすぎていては、人生が暗く感じて、嫌になる。この原因は誰にあるのかと、八つ当たりもしたくなるというものだ。
ところで、その、子どもの背の高さは、何によって決まるのだろう。
Imperial College of Londonの Dr Andrea Rodriguez Martinezらの研究チームは、1985年から2019年にかけて測定された世界各国の子ども(年齢5-19歳) の身長・体重のデータ約6,500万件を分析し、その結果を医学雑誌「Lancet」に発表した。
それによると、2019年に 19歳に達した子どもについては、最も背の高い国と低い国はそれぞれ、
・最も背の高い国:Nehterlands (オランダ)、183.8cm
・最も背の低い国:Timor leste (東チモール)、160.1cm
研究者は、この背の違い約 20cmを、食生活の違い (栄養の良し悪し) によるものとみる。なお、背の低い国として、東チモールの他にも、南アジア、東南アジア、ラテンアメリカ、東アフリカの国々が挙げられる。
ただし、この数十年間で、子どもの背の高さが急速に伸びた国はChinaと South Korea。その一方で、ほとんど変わらないか、逆に子どもの背が低くなった国は「Sub-Saharan Africa (サハラ砂漠以南)」の国々だった。
さらに、体格指数BMIの最も高い (すなわち太り気味の)子ども (19歳に限定)は、
・Pacific Islands (太平洋諸島)
・Middle East (中東)
・USA (アメリカ合衆国)
に多く、逆に、BMIの低い国は、エチオピアそれにインド、バングラデシュなどの南アジアの国だった。BMIの最大と最小との差 10.6を、おおざっぱにに体重の差に換算すると、約 25kg。したがって、同じ19歳でも、USの子どもは、Bangladeshの子どもに比べておよそ 25kgも体重が重いことになる。
なお、子どもの背の高さと体重は、「genetics (遺伝子)」によって大きく左右されるが、他にも
・health of entire populations :国民全体の健康
・nutrition:栄養
・environment:環境
などのファクターが関与していると考えられている。
とにかく、子どもにとって適切な時期に背が伸びて、適切な体重を維持できることに越したことはない。それによって、子どもは、まともに「wellbeing(健康で幸せ)」を感じることができ、「lifelong benefits (一生に渡る恩恵)」を手にしたことになる。
世の中、不公正に満ちていることは分かり切ったことだが、このまま何も対策をとらないと、貧しい家庭、貧しい国の子どもは、いつまで経っても、背が低く、体が弱いハンデイを背負うことになりかねない。
おわりに:昔話の「ねずみのすもう」が印象に残っている。貧乏なじいさんの家のネズミは痩せネズミ、長者どんのネズミは太っちょネズミ。ある日、じいさんが山に芝刈りに出かけると、その 2匹がヤブの陰で相撲をとっている。痩せたひょろひょろネズミは、長者どんのネズミに投げられっぱなしだった。そこで、じいさんは、ばあさんにモチをつくってもらって、痩せネズミに食べさせる。すると、じいさんのネズミが長者どんのネズミを投げ飛ばしたという。なんとも痛快な話だ。
参考:[ 神沢利子・文、赤羽末吉・絵:ねずみのすもう、偕成社、1983 ]
(写真は添付のBBC Newsから引用)
コロナ恐るべし:脳神経を冒し、精神疾患の発症リスクを高める! (RTE-News, Nov. 10, 2020)
「新型コロナなど怖くない」と豪語したのは、事あるごとに「フェイク」、「fake (まやかし)」を連発した某国のT氏。しかし、コロナウイルス「SARS-Cov-2」の感染者数は世界で5,000万を超え、126万の貴重な人命を奪った。現在のところ、感染者数と回復者数の比率は、高々約65%に留まる。ところが運良く、回復したからと言って安心できないことが分かった。後遺症が現われることもあると言うのだ。
ウイルス「SARS-Cov-2」は、脳の「Central-nervous systems (中枢神経系)」を攻撃する。このため、回復した患者の、およそ 5人に 1人(約20%)は、3ヶ月以内に、
・anxiety:不安神経症
・depression:うつ病
・sinsomnia:不眠症
などの「psychiatric disorders (精神障害)」を発症し、「dementia (認知症)」の発症リスクも高かった。
これは、Oxford大学の Paul Harrison教授らの研究グループが USの電子カルテ約6,900万件 (この中にはコロナ感染者約 62,000人分を含む)を解析した結果の結論だ。(研究の詳細は医学雑誌「The Lancet Psychiatry Journal」に発表。)
なお、King's College Londonの Simon Wessely教授によると、逆に、「mental health problems (メンタルヘルス障害)」に罹っている人は「Covid-19」に感染しやすいと言う。
Harrison教授は、コロナ感染によって、なぜ脳神経が冒されるのか、また、どのように治療すべきかについて、早急に取り組む必要があると訴える。
おわりに:コロナウイルス「SARS-Cov-2」の攻撃は、呼吸器系に限らず、脳神経にもその攻撃が及ぶ。脳は厄介な部位だ。その機能も、精神障害の原因も、十分に解明されていないからだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)
コロナ感染でマスクが散乱、飛散:ビーチで鳥の脚に絡まるほど! (BBC-News, Nov. 6, 2020)
例年、春先の花粉シーズンになると、薬局・スーパーで販売されていたマスク。それが、今年の春、一時、日本全国のほとんどの売り場から消えた。「販売終了、次の入荷は未定」の張り紙を残して。
その後、やや時を置いて出回ったのが、粗悪品の中国製マスク。そして、遅きに失したアベノ・マスク。やがて、人々は、そんなマスクを見限って、手作りマスクの良さに気づく。
しかし、とにかく、前代未聞の大量の使い捨てマスク (そのほとんどが中国製)が製造、販売され、1、2度使われて捨てられた。それは事実だ。
そうした背景があってか、今年のゴミには捨てられたマスクが増えた。道端のあちらこちらに、タバコの吸い殻、空き缶に混じって、使用済みのマスクが散らばっている。なんとも不潔だった。
その事情は、Scotlandとて同じだ。「The Marine Conservation Society (海洋保全協会)」が、ボランティア約400人の協力を得て、Scotlandのビーチ約100箇所で、「ゴミ拾い (clean-up)調査」を実施した。
その結果によると、約 1/4のビーチには、使い捨てマスク、ウェットティッシュ (wet wipes)、ビニール手袋など、コロナ感染予防対策に使用したPPE (Personal Protective Equipment)」が散乱していた。
ビーチのゴミのほとんどは、プラスチック、ポリエステル製が占め、距離100mごとに平均 78ヶのゴミが見つかったという。それに加えて、数え切れないほどのウェットティッシュ、ポテトチップスのカラ袋、綿棒が散乱していた。
なんと、海鳥の脚にマスクのゴム紐が絡まるほど、Scotlandのビーチはコロナ感染対策のグッズ PPEで汚染されていたのだ。
「animal charities (動物保護団体)」は、使い捨てマスクを捨てる際には、せめて、ゴム紐を切るようにと呼びかけているとか。
なお、ビーチ調査と並行して実施された、Scotland内陸部の「inland litter surbey (ゴミの調査)」によると、調査サイトの約 69%で、捨てられたマスクやビニール手袋が見つかっている。
おわりに:中国武漢で発生し、世界中を混乱に巻き込んだ新型コロナは、5,000万人を超える人間の健康を奪い、仕事を奪い、生命さえ奪った。その上、野生生物の生態系を壊し、自然環境まで奪うとは。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
風力発電の夜間蓄電プラント:独学の発明家が開発! (BBC-News, November 7, 2020)
画期的なアイデア、発明、新技術は、なにも大企業や大学の研究者が思いつき、開発に成功するとは限らない。小さな町工場(こうば)、趣味人の裏庭の作業小屋だって、専門家が驚くようなものをつくり出すことがある。
UK東部のHertfordshire (ハートフォードシャー)に住む Mr Peter Dearmanも、そんな発明家の一人だ。Mr Dearmanは独学で「liquid air (液体酸素)」の製造技術を習得し、この度、UK政府に対し、商業規模のエネルギー貯蔵プラント建設を申請したところ、これが認められ、£10m (約14億円)の補助金がついた。
そのエネルギー貯蔵技術は独創的だ。風力タービンは、昼も夜も回り続けているが、どうしても、夜間に「余剰電力(surplus electricity)」が発生してしまう。このムダな電力を使って空気を圧縮し、-196℃の液体空気を製造するというもの。これを貯蔵タンクに保管し、消費電力が上昇する日中あるいは7, 8月にタービンの回転ブースターに利用するシステムだ。
このエネルギー貯蔵システムの効率は 60 -80%。バッテリー方式に比べて効率がやや劣るものの、貯蔵タンクの建設コストを抑えることができ、レアメタル (Li, Co, Niなど)も不要。長期的なエネルギー貯蔵に優位性があるという。
計画では Manchesterの近くに、電力50MW (5万kW)を貯蔵できるプラントを建設する予定とか。
なお、Mr Dearmanは、小型の液体水素タンクを搭載した電気自動車の開発にも成功している。その技術力は、「The Department for Business, Energy and Industrial Strategy (英国ビジネス、エネルギー、産業戦略省、BEIS)」の主席科学顧問 John Loughhead教授の折り紙付きだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
宇宙から見えた:人類のエネルギーのムダ使い! (BBC-Science, October 29, 2020)
海岸、潟・湖に面した小高い山に登ると、その頂上には、今でも古い石灯籠を目にすることがある。かつて漁師だった人に話を聞くと、昔は、夜になると、その石灯籠に灯りがともり、漁船を操る漁師は大いに助かったものだという。
それほど、昔の夜は暗く、小さな集落などは、夜更けになると真っ暗闇に包まれた。
それが、わずか100年足らずの間に、田舎の道でさえ、日没後には街灯が灯り、スーパー、コンビニ、パチンコ店は夜中まで営業を続ける。まさに「不夜城」があちらこちらにできた。
こうして、夜の漆黒の闇は、ほとんど消えた。
Dr Fabio Falchiらの国際研究チームが、2016年に「Science Advences」に発表した調査研究によると、世界の全人口の約80%が、夜の真っ暗闇がどういうものか知らない。US、ヨーロッパに住む人に限ると、約99%以上が、夜の真っ暗闇を経験したことがないという。
そこで、「The German Research Centre for Geoscience (ドイツ国立地球科学研究センター)」の Dr Christpher Kybaらの研究チームは、USの Arizonaにある人口約55万人の都市「Tucson (ツーソン)」で、人工衛星を使った「夜間照明に関する大規模実験」を行なった。
10日間の実験期間中、夜中の 1:30に一斉に、街中の街灯約40,000ヶの照明を落としてもらい、これによって夜の都市の灯りがどの程度変わるのかを調べた。
すると、街灯の灯りを落としても、夜の都市はギラギラと光を放っていた。その発生源は次のとおり。
・advertisements:ネオン広告
・floodlights:フラッドライト (投光照明)
・lit buildings:施設照明
・faced lightining:ファサード照明
・parking lots:駐車場
・sport stadia:スポーツ・スタジアム
ほとんどの人が眠りについている間にも、誰の役にもたたない、煌々(こうこう)した灯りが宇宙の彼方に放たれていたのだ。
「The International Dark Sky Association (国際ダークスカイ協会)」によると、人工照明 (artificial light)の約35%がムダにただ夜空を明るくするだけに使われているという。そのコストは USだけで年間 30億ドル(約3,000億円)。
なお、夜間照明が犯罪・事故防止にどれだけ役にたっているのかは定かでない。一方で、ギラギラの照明が渡り鳥、昆虫、野生動物の生態リズムを狂わせているのは確かだ。
おわりに:原子力発電所の夜間余剰電力は、本当に有効に使われていると言えるのだろうか。人類は、膨大な犠牲を払ってエネルギー生産に励んでいるが、その使い方を十分に知らないとは.......。その科学レベルも知れたものか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
DNA解析で探る:オオカミがいつ、どこで、なぜイヌになったか? (BBC-Science, October 30, 2020)
あの獰猛(どうもう)なオオカミが、仲間の群れから外れて、いつ頃から人間と寝起きを共にし、一緒に暮らすようになったのか。なぜ、それがクマやトラではなく、オオカミだったのか。それは不思議なことだ。
「Francis Crick Institute (フランシス・クリック研究所)」のDr Pontus Skoglund, Dr Anders Bergströmらの国際研究チームは、世界中の主な犬種の DNA解析に取組み、「whole genomes (全ゲノム配列)」を明らかにした。
その結果によると、今からおよそ11,000前の最終氷期末に、ほんの一部のオオカミが人間の側(そば)で暮らすようになり、当初、北半球でオオカミから派生したイヌ族 (cane)は、5種類だった。
初期のヨーロッパ原種 (European dogs)は、「Near Eastern dogs (近東犬種)」の近縁種と「Siberian dogs (シベリアン・ハスキー)」の近縁種に 2分された。しかし、BC3,500年前頃、青銅器時代に入ると、なぜか、ヨーロッパのイヌの系統 (lineage)は一つだけに絞られる。
また、南アフリカの「Rhodesian Ridgeback (ローデシアン・リッジバック)」、メキシコの「Chihuahua (チワワ)」、「Xoloitzcuintli (ショロイッツクゥイントリ)」にも、オオカミの一部から派生した「古代の固有のイヌ属 (ancient indigeneous dogs)」の遺伝子が確認できるという。
ただし、East Asia (東南アジア)のイヌ族の歴史は複雑だ。中国大陸種の祖先は「Australian dingo (ディンゴ)」、「New Guinea Singing dog (ニューギニア・シンギング・ドッグ)」に遡(さかのぼ)るものもあり、ヨーロッパやロシアの草原に、その先祖を辿(たど)ることもできるという。
イヌとは別に、ネコが人間に飼われるようになったのは、人間の生活の営みが「hunter-gathering (狩猟採集)」から「farming (農耕) 」に変わった約6,000年前の頃とされる。したがって、人類とイヌ属 (cane)との付き合いは、ネコよりも断然、古いことになる。
おわりに:ネコは人間がエサをくれるから、その側(そば)にいるだけだ。しかし、イヌには、人間の言葉を理解しようとし、人間と喜び・悲しみを分かち合う「共感 (empathy)」の心がある。だから、イヌ族は人類にとって正真正銘の「companions (伴侶)」だったと言えよう。残念ながら、最新のDNA解析技術をもってしても、イヌ族がいつ、どこで、なぜ、オオカミから分派したのかについて、正確に説明することは難しいとのことだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)
未来の宇宙船の心臓:ミニ核融合反応炉がUKで完成! (BBC-Science, October 29, 2020)
大英博物館の正面の通りに、電話ボックスがあった。同じような青いボックスが、BBCのSF-TVドラマ「Dr WHO」に登場する。ただし、それは一見、電話ボックスに見えても、ターディス「次元超越時空移動装置 (Time and Relative Dimension in Space)」と呼ばれる宇宙船かつタイムマシン。
ターディスの心臓部は、Dr WHOが「Mother」と呼ぶ「小さな太陽(核融合反応炉)」だった。そこから生まれるエネルギーは莫大で、「生命の死」にさえ「生の息吹」を与え、異星人の攻撃機を一瞬にして宇宙の塵(ちり)に変える「創造主の絶対力と途方もないエネルギー」を秘めていた。
その「Mother」によく似た核融合反応の実験炉が、UKのOxfordshireに完成した。「Mast Upgrade (改良型メガアンペア球状トカマク)」がそれだ。UK政府が7年の歳月と£55m (約74億円)を費やして完成させた。それは、まるで「artwork (芸術作品)」だと言う。
通常のドーナツ型のトカマク炉とは違い、その形を球状とし、できるだけコンパクトな「核融合炉 (fusion reactor)」を目指した。燃料は水素の同位体の重水素と3重水素(トリチウム)。ウラン235の核分裂反応 (fission)とは違い、ほとんど「放射性廃棄物 (radioactive waste)」を排出しない。さらに、核分裂反応とは比較にならないほどの莫大なエネルギーを発生する。まさに人類の未来社会あるいは宇宙旅行に欠かせないエネルギー源だ。
ただし、この特殊な球状トカマク型炉の開発に当たって、最大の問題点は、この人工太陽のプラズマの温度が太陽の約10倍に達することにある。このため、プラズマを閉じ込める壁面の耐熱性をどのように確保すべきか、また、プラズマをできるだけ壁面から遠ざけるためには、どのような構造設計が適切か等々、多くの技術的な問題を解決する必要があった。
研究者は、この核融合実験炉を稼働させて十分なデータを集め、それに基づいて、2040年までには、本格的な核融合発電所を建設したい考えだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)