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未来の宇宙船の心臓:ミニ核融合反応炉がUKで完成! (BBC-Science, October 29, 2020)

Mast upgrade

 大英博物館の正面の通りに、電話ボックスがあった。同じような青いボックスが、BBCのSF-TVドラマ「Dr WHO」に登場する。ただし、それは一見、電話ボックスに見えても、ターディス「次元超越時空移動装置 (Time and Relative Dimension in Space)」と呼ばれる宇宙船かつタイムマシン。

 

 ターディスの心臓部は、Dr WHOが「Mother」と呼ぶ「小さな太陽(核融合反応炉)」だった。そこから生まれるエネルギーは莫大で、「生命の死」にさえ「生の息吹」を与え、異星人の攻撃機を一瞬にして宇宙の塵(ちり)に変える「創造主の絶対力と途方もないエネルギー」を秘めていた。

 

 その「Mother」によく似た核融合反応の実験炉が、UKのOxfordshireに完成した。「Mast Upgrade (改良型メガアンペア球状トカマク)」がそれだ。UK政府が7年の歳月と£55m (約74億円)を費やして完成させた。それは、まるで「artwork (芸術作品)」だと言う。

 Vacuum vessel, Mast Upgrade

 通常のドーナツ型のトカマク炉とは違い、その形を球状とし、できるだけコンパクトな「核融合炉 (fusion reactor)」を目指した。燃料は水素の同位体重水素と3重水素(トリチウム)。ウラン235核分裂反応 (fission)とは違い、ほとんど「放射性廃棄物 (radioactive waste)」を排出しない。さらに、核分裂反応とは比較にならないほどの莫大なエネルギーを発生する。まさに人類の未来社会あるいは宇宙旅行に欠かせないエネルギー源だ。

Mast Upgrade

 ただし、この特殊な球状トカマク型炉の開発に当たって、最大の問題点は、この人工太陽のプラズマの温度が太陽の約10倍に達することにある。このため、プラズマを閉じ込める壁面の耐熱性をどのように確保すべきか、また、プラズマをできるだけ壁面から遠ざけるためには、どのような構造設計が適切か等々、多くの技術的な問題を解決する必要があった。

 

 研究者は、この核融合実験炉を稼働させて十分なデータを集め、それに基づいて、2040年までには、本格的な核融合発電所を建設したい考えだ。

    (写真は添付のBBC Newsから引用)

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