白色矮星の爆発:核融合反応前後の撮影に成功 (BBC-Science & Environment, August 17, 2016)
お盆が過ぎると、朝夕の気温も落ち着く。これからは、海は荒れ始めるが、空の星がずうと美しくなる。月も 18日 (木) は満月に輝く。花火をこの上なく愛でる人もいるが、夜空にあって静かに光を放つ星の輝きと、その奥ゆかしさには、とうてい及ばない。
さて、あの夜空の向こうに広がる宇宙には、終焉を迎えた小さな恒星 (stars) と、若くて大きな恒星がペアになって存在する連星系 (binary system) が、観測されている。
年老いた恒星は白色矮星 (white dwarf) と呼ばれ、体積が縮小し高密度になった天体だ。2 つの天体は互いの重力を受けて運動しているが、1 万年から 100万年の周期で、一定の距離に近づいたとき、白色矮星は、その巨大な重力によってパートナーの伴星(companion star) のガス体を吸収し、爆発的な「熱核反応 (explosive thermonuclear reaction) 」が起こる。このとき、白色矮星は明るく輝き、新星 (nova) となる。
Warsaw 大学 Przemek Mróz 氏らの研究チームは、チリの天文台 (The Warsaw University Astronomical Observatory) で宇宙の dark matter を探していて、偶然に、2万光年彼方に浮かぶ白色矮星が爆発する瞬間と、その爆発前後の写真撮影に成功した。研究成果の詳細は Nature に発表された。
撮影された連星は、太陽の半径ほどの距離まで互いに接近し、それまでゆっくりと、伴星から白色矮星に流れていたガス体が、一挙にその流れのスピードを加速させたかと思うと、白色矮星は爆発した。
この一連の現象 (event) は「classical nova (古典的新星)」に関する「hibernation model (冬眠モデル)」によって十分に説明されるという。
なお、この爆発では、「type la supernova (Ia型超新星)」の爆発と違って、白色矮星が粉々に砕け散ることはない。爆発後、連星は何事もなかったかのように、互いに運動を続け、数千年後に再び、白色矮星が爆発すると考えられている。しかし、「No one will be able to see it. (誰もそれを見ることはできない)」そうだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)