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アイルランドの英語に:なぜ、「お国なまり」が盛りだくさん? (RTE-News, Aug 4, 2023)

The Diversity of Irish Accents on Today with Philip Boucher Hayes

 標準語と方言は、Germany, France, Spain, Canada, US, UKはもちろんのこと、ほとんど どこの国にもある。住んでいる地域の歴史、伝統、文化の違いによって話し言葉の抑揚、アクセント、あいさつなどに、地域特有の「訛(なま)り」が定着したためだ。

 その昔は、今と違って、村や町を結ぶ道が粗悪な上に、人々の交流が関所で厳しく監視され、情報ネットもごく限られていたため、地域住民は閉鎖的な社会で暮らすことを余儀なくされた。生まれてから一生涯、ほとんど土地を離れることがなかった百姓・農民には、田舎訛りがひどかったことも容易に理解できる。

 

 さて、その事情は Irelandとて同じようなものだった。ただし、Irelandは人口約500万人の小さな島国だ。そんなに小さな国であっても、地域ごとに話す言葉の「accents (訛り)」が大きく違うのには、それなりのわけがある。

 Limerick (リムリック)大学で応用言語学を専門とするMairéad Morarty助教授によると、

 

・この国は歴史上、北方のバイキングはじめ多くの他民族に侵略、占領されたこと

・Irelandの島国が、たくさんの「clan (血族集団)」で構成され、

 

  small groups:小さな部族集団が

  very rural:片田舎で

  licalised :地域ごとにまとまって

 

 生活していたことが主な理由だ。

 

(数千年前、強いリーダーがいなかったIrelandは、スカンジナビア半島から冷血なバイキング集団が大挙して、この島に上陸したとき、なすすべを知らなかったに違いない。残忍なバイキングは、情け容赦が無かった。平和で暮らしていた善良な住民を次々に殺戮し、その財産、土地を略奪した。)

 

 さらに、昔は道路事情が悪く、地域間の交流が思うように進まなかったことも、訛りの多様化 (diversity)に拍車を掛けた。

 

  ことばの訛りは、その人の生まれ育った環境、とくに両親、兄弟によって大きく影響される。

 さて、Ireland南東部の都市 Cork出身でジャーナリストの Mr Pat Fizpatrickは、自分の住む Corkの「the posh Cork accent (上流階級アクセント)」と首都のダブリンの「the posh Dublin accent (上流階級アクセント)」に違いがあることに注意を向ける。Corkの人々からすると、後者の英語が美しい標準語 (dulcet tones)で「quite Englsh (まともな英語) に聞こえるという。

 

 さらに続けて、Corkの英語には「the posh Corl accent」と「the working-class accent」の違いがあり、「West Cork accent」と「Wast Cork accent」の違いがあるという。訛りの境界 (borders)をバカバカしいほど複雑にしているのは、かっての「Clan system」。支配した地域が地理的な複数の境界をまたいで、たとえば、Ireland南西部の「the Kerry accents (ケリー訛り)」は、くだけた「the West Cork accent (ウェストコーク訛り)」そのものとなる。

 

一方、北アイルランド生まれで小説家の Ms Nuala McKeeverは、この国の多くの住民はジレンマを抱えているという。

 

"We are all so caught here on this little island with, you know, simultaneously hating and wanting to ape the English and in England they’are all hating and wanting to ape the southeast of England. I don’t know who they hate and want to ape the southeast of England, probably themselves.”

 

[ 私たちはみなこの小さな島に閉じ込められているが、(標準)英語をまねて話すことに嫌悪感を抱きながら、同時に、これを話したいとも願っている。そして(隣のBritain島の)Englandでは、サウス・イーストの上流階級の英語をまねて話すことに嫌悪感を抱きながら、一方で、これを話したいと願っている。では、当のサウス・イーストの住民たちは誰を嫌い、またどんな英語にあこがれているのか。おそらくそこに住む自分たちだろう。]

 

  なお、英語の訛りに関しては、2通りの考え方があるという。

・スピーチの際は、できるだけ多くの人にわかってもらえるように、訛りを抑えて話すように努める。

・「original accents (生まれた土地の訛り)」は誇りだとばかりに、「through thik and thin (いつ いかなるときも)」自分の訛り(丸出し)で話すことにこだわる人もいる。

 おれは労働者階級の生まれだ。たとえ、一戸建ての家に住んでいようが、週に2度、掃除婦を雇える身分であろうが、おれは労働者階級。労働者階級でいたいのだ。わかるだろう、おれの気持ちが.....。

おわりに:これはむずかしい問題だ。かって文化の中心だった大阪・京都の人が、その「お国ことば」を誇りに思い、アナウンサーのような日本語を敬遠するのは、理解できないこともない。しかし、TV・映画、マスコミ等で地方の「田舎弁」をおもしろおかしく取り上げたり、疎んじる姿勢には同調できない。逆に。地方都市の役人が、その市庁舎内外で「田舎弁」にこだわる姿勢も滑稽(こっけい)だ。

 では、日本人が英語を話すとき、古い時代の英語教師のように、不思議な「accents」が連続する「Japanese English」で良いのだろうか。その答えは、「なんのため英語を話すのか」にある。各人が、心して練磨するしかない。

     (写真は添付のRTE-Newsから引用) 

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