日焼け:メラノーマ(盛り上がって不気味で醜いホクロ)を招く!
梅雨(つゆ)が明けると、真夏の太陽の季節だ。強烈な直射日光は、熱くて裸足(はだし)で歩けないほど、砂浜を照らす。
ほどよく日焼けして活気に満ちた表情は、眠たげな青白い陰気な顔に比べて、誰の目にも健康そうに見える。けれども、忘れてならないのは、軽々に海水浴や海辺で日光浴を楽しむと、皮膚ガンのリスクが高まることだ。
ご存知のように、紫外線には、微生物のDNAを破壊するほど強い殺菌作用がある。ただし、これを浴びると壊れて死滅するのは微生物だけではない。人間の皮膚も紫外線に対して脆弱なのだ。DNAにダメージを受けると、ときに「genetic mutaion (遺伝子変異)」いわゆる「melanoma (メラノーマ、悪性黒色腫)」の暴走を招くことがある。
Irelandでは新たにメラノーマと診断される患者は年間約13,000人 (日本の罹患数はこの約 2倍)。乳ガン、前立腺ガン、大腸ガンなどに比べて、マスコミ等で取り上げられることは少ないが、決して軽視できない悪性の病気だ。
RTEは、皮膚科医 Dr Rosemary Colemanの協力を得て、メラノーマの予防とそのチェック法について以下にまとめた。
1.Sun protection:紫外線対策
・曇り日でもUVAが強いことを忘れない。
・UVAがとくに強くなる日中の午前11時から午後3時までの時間帯は外出を避ける。とくに、家族にメラノーマの罹患した人がいる、あるいはかってメラノーマに罹患した方は、この時間帯の屋外スポーツを控えることだ。
・夏は日陰で過ごし、できるだけ長袖の衣服を着用して、肌を露出しないこと。なお、日陰であっても、太陽の反射光に注意する。
・つば広帽子 (broad-brimmed hats)を被って、頭部、首の後ろの日除けに努める。
・サングラスは UVA、UVBカットの「wrap-around glassses (目元をすっぽり包み込むタイプ)」を使用する。
・日焼け止めクリーム SPFは最後の切り札。ただし、その効果を過信しないこと。
2.Checking for changes in moles and spots:ホクロ・シミの変化に注意
・この時期、「moles and spots (ホクロ・シミ)」をこまめにチェックし、異常と感じたら、「get it checked out (専門医に診てもらう)」こと。
その際に注意すべき点は、以下の「The ABCDEF rule」。
A: Asymmetry (ホクロの形がいびつで非対称)
B: irregular Borders (ホクロの縁わまりがいびつ)
C: more than three Colours in the spots (ホクロの色が3色以上混ざっている)
D: a Diametre larger than a shirt button (直径がシャツのボタンよりも大きい)
E: an Evolving appearance (ホクロの形がドンドン変わる)
F: a Funny-looking spot (異様)
ホクロ (moles)は誰のからだにも少なくとも1つ2つはあるもの。しかし、少し盛り上がって、見るからに「ugly duckling sign (醜いアヒルの子)」であり、他とは明らかに違うホクロには注意が必要なのだ。
3.Taking a photograph:写真を撮っておく
肌の吹き出物や、この 4- 6週間で形・色が変わったホクロにはとくに注意を払い、心配なら、これを写真に撮っておいて、2週間後に再度確認すること。
4.Predisposing factors:罹患素因
メラノーマの発症要因 (prediposing factors)として、病理学的に次の3点が考えられている。
・Sunlight (太陽光の紫外線)
・Preexisting nevi (先天性のホクロ)
・Hereditary predisposition (遺伝的な体質)
おわりに:皮ふのトラブルのやっかいなことは、自然治癒に時間がかかること、その間に、つい、いじって、患部を悪化させてしまいがちなことだ。
なお、メラノーマに関する病理学上の正確な知識を望む人には、権威ある次の1冊をすすめる。
・Vinay Kumar, Abul K. Abbas, Nelson Fausto, Richard N. Mitchell: Robbins Basic Pathology, 8 ed. Sunders Elsevier, 2007
(写真は添付のRTE-Newsから引用)