絶滅寸前の恐竜:処女受胎で生き延び、子孫を残した? (BBC-News, Jun 7, 2023)
レオナルド・ダ・ヴィンチは「処女受胎 (The Annunciation)」のシーンを絵に描いた。神の命を受けた大天使ガブリエル (Achangel Gabriel)が、聖母マリアのもとに赴(おもむ)いて、マリア(16歳)が神の子 (The Son of God)イエス (Jesus)を懐妊したと告げる場面だ。
子どもの頃は、素直に、なんとも不思議なめずらしいことがあるものだと思った。
ところが、生物学上で「parthenogenesis (単為生殖)」と呼ばれる、「virgin birth」は、生物界の一部の種属にとって、「remarkably common and widespred (めずらしくもなんでもない)」ことだった。
これまで
・sharks:サメ
・birds:鳥
・snakes:ヘビ (ガラガラヘビ)
・lizards:トカゲ
・bees:ハチ
などに、単為生殖が確認されている。
ここに来て、ワニ (crocodiles)にも、オスなしで自分のクローンをつくる「生き残り戦術」があることが明らかになった。
Costa Rica (コスタリカ)の「Parque Reptilania (レプタイル・パーク)」で飼育されたいた「American crocodile (アメリカワニ)」は卵を抱いていたが、その卵が孵(かえ)った。2018年 1月のことだ。しかし残念なことに、「stillborn (死産)」であった。
このメスのワニ (2歳)は、これまでずっと園内で他のワニから隔離されて飼育されて来たワニだった。
レプタイル・パークの研究チームは不思議に思って、USのバージニア工科大学(Virginia Tech)の Dr Warren Boothに調査を依頼した。 Dr Boothは、これまで「virgin birth」について17年間研究を続けてきた、その道の専門家だ。
Dr Boothが死産のワニの「foetus (胚)」の遺伝子を調べた結果、母親ワニの遺伝子に99.9%以上一致することが確認された。まさにクローンだった。
ある説によると、生物界で認められる「単為生殖 (parthenogenesis)」は、仲間の個体数が減少し、絶滅の危機に瀕(ひん)したときに、生き残りを図るために行なう戦術とか。
鳥類もトカゲも進化の系統樹上では、dinosaurs (恐竜)の子孫と同じ流れに行きつく生物だ。したがって、Dr Boothによると、約1億年前、地球上の環境変化が進んで、恐竜がその数を減らしつつあった時代、恐竜もまた、生き残るために「parthenogenesis (単為生殖)」を繰り返したと考えられるという。それは、死にゆく生物が次の世代に遺伝子を引き継ぐために欠かせない「acient trait (古くからの形質)」だったのだ。
(なお、Dr Boothらの調査研究結果の詳細は、科学雑誌「Biology letter」に発表された。
おわりに:なにがなんでも生き抜いてみせる。その生物の本能の強さと形質には驚く。トカゲは手足、しっぽが切れても、これを復元させ、寿命が尽きかけると、ひとりで卵を産んで、自分と全く同じクローントカゲを残す。
ヒト属 (Homo)がこの「trait (形質)」を手にしたなら、なにに使うだろう。おそらくは、戦争あるいは特別軍事作戦か。どっちだって同じこと。なんと残虐で、思いやりに欠け、「徳」の退化した生物だ。
(写真は添付のBBC-Newsから引用)