孤独のマンモス:絶滅した本当の理由が、今明かされる! (BBC-Science & Environment, March 3, 2017)
今から数万年前、マンモス (wooly mammoths) は北米 (North America) やシベリア(Siberia) に数多く生息していた。それが、約一万年前頃から人間の狩猟の的となって追い回され、さらに環境変化が重なって、約 4,000年前に絶滅したとされる。
しかし、マンモスが絶滅した決定的な理由は定かではなかった。本当は何だったのだろうか。
California 大学の Dr Rebekah Rogers らの研究チームは、東シベリア北部の北極海に浮かぶ「Wrangel Island (ウランゲリ島)」で発見された絶滅直前のマンモスのDNAを解析し、これを、人類が狩猟を始める 45,000年前のマンモスの DNAと比較した。
そして、その違いに愕然とする。
なんと、絶滅寸前のマンモスの「genomes (遺伝子ゲノム)」は「falling apart (ボロボロ)」になっていたのだ。これは生物種で初めて確認された「genome meltdown( 遺伝子ゲノムのメルトダウン)」だ。
マンモスの体の中で、悪質な突然変異 (bad mutations) が繰り返された結果、「olfactory receptors (臭覚受容体)」が失われ、仲間に自分の存在を知らせることも、メスまたはオスにアピールすることもできなくなった。その結果、マンモスの群れはバラバラになり、それぞれが互いを避けて、孤独に生きるようになったと考えられる。
また、絶滅の道をたどったマンモスは、その「genome (遺伝子ゲノム)」の一部が大幅に削除され、「functional genes (機能遺伝子)」に関与する遺伝 情報さえ失われていた。
4,000年前の「Wrangel Island (ウランゲリ島)」のマンモスのように、現在、個体数が激減し、絶滅の危機に追い込まれている動物として、アジアソウ (Asian elephant)、マウンテンゴリラ (Mountain gorilla)、パンダ (Panda)、アジアチータ(Asian cheetah) などが挙げられるが、その中でも野生に生息する個体数が100を切ったアジアチータや個体数約300のマウンテンゴリラの絶滅が心配されている。
生物が絶滅 (extinction) の危機に直面すると、遺伝子ゲノムに突然変異が現われ、遺伝子ゲノムメルトダウンにつながるとすれば、絶滅危惧種 (endangered species) の遺伝子を調べることによって、絶滅の危機レベルが明確になるはずだ。
Dr Rogers らが進めるゲノム解析の研究結果は「PLOS Genetics」に発表され、今後の、絶滅危惧種の保護活動に欠かせない指針 (implications) を与えるものとして期待されている。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)