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カフェインで元気「ただ乗り」とはいかない:代償はどっと来る! (RTE-News, Jan 30, 2023)

'Caffeine can be useful, but it isn't magic'. Photo: Dayne Topkin/Unsplash

1.Coffee and Caffeine:コーヒーとカフェイン

 喫茶店で一杯のコーヒーを注文する際に、エスプレッソ、カフェラテ、アメリカンのどれにしようかと、その選択に迷うことがある。

 しかし、どれにしても、コーヒーには覚醒作用のある「精神刺激剤 (stimulant)」の「caffeine (カフェイン)」が含まれている。

 

 ところで、「caffeine」とは、「coffee」を意味するフランス語「cafe」に、化学物質「alkaloids (アルカロイド)」の含有を表わす「-ine」が付いた言葉だ。その本来の姿は白い針状の結晶。コーヒー一杯には最大500mg、平均約95mgのカフェインが含まれている。

 では、いったい なぜ、カフェインに覚醒作用 (目がさめる効果)があるのだろうか。この疑問に答えるためには、まず、眠気(feeling drowsy or sleepy )あるいは睡眠 (sleep)について考える必要がある。

 

2.Sleep and Adenosine:睡眠とアデノシン

(Getting busy, getting tired:働かせたり、疲れさせたりする化学物質)

 そもそも、なぜ人間は、疲れを感じたり、眠くなったりするのか。それは、ひとえに、「adenosine (アデノシン)」の働きにある。

 このアデノシンは、生体のほとんどの細胞が産出する「purine-matabolite (プリン代謝物)であり、筋肉の伸縮などのエネルギー源として重要な化学物質だ。

 

 朝、ベッドから起きて、 からだが活発に動き始めると、アデノシンは脳に徐々に蓄積される。やがて、十分に蓄積されたアデノシンが「adenosine receptors (アデノシン受容体)」に結合すると、それまで目を覚まさせる役目を担っていた神経伝達物質ヒスタミン (histamine)」の放出を抑えるため、からだは疲れを感じて眠くなる。

 

 ところが、夜間、ぐっすり眠って、十分に睡眠をとると、アデノシンは雲散霧消(うんさんむしょう)に消え失せる。(ただし、そのメカニズムは不明)。そして、朝、再び、リフレッシュな気分に戻ることができる。つまり、アデノシンの分解には、睡眠が欠かせないのだ。

 

 さて、カフェインの登場。

 カフェインの化学構造はアデノシンとよく似ている。カフェインを摂取すると、これがアデノシンを押しのけて、優先的に「アデノシン受容体」に結合してしまう。このため、脳内にはアデノシンが蓄積されたままだ。そこで、神経伝達物質ヒスタミン」のコントロールができなくなり、眠気が飛んで、目はギラギラの状態のまま。Will a latte levy stop us dumping 200 million coffee cups a year?

3.No free ride:ただ乗りとはいかない、ズルのツケは払わないと

 しかし、『カフェインのおかげで、眠らないで済む』とはいかない。カフェインの覚醒作用は永久に続くわけではないからだ。時間が経過するにつれて、体内に吸収されたカフェインはやがて分解してしまう。

 脳内に溜まりに溜まったアデノシンは、その時が来るのをじっと待っているのだ。そして、カフェインが崩壊すると、アデノシンは即座に「アデノシン受容体」と結合する。この結果、からだは、どっと疲れを感じ、さらに強烈な眠気に襲われる。

 なにしろ、アデノシンを消去できる手段は、睡眠の他に存在しないのだ。

4.Timing is everything:タイミングがすべて

 寝ぼけまなこをパチっとさせるためには、朝のコーヒーが役にたつ。元気がでてやる気になる。

 それに、カフェインの代謝機能は人によって違うが、カフェインの分解は至って緩やかだ。5時間経っても、ようやく50%が分解されるほどだ。だから、午後のコーヒーは控えた方が無難。夜の寝付きが悪くなる。

 

 また、なぜ『コーヒーは朝に限る』か、については、他の理由もある。

 朝、目が覚めると、ストレスホルモン「cortisol (コルチゾール)」の分泌が始まり、「alert (注意)」が喚起される。カフェインには、このコルチゾールの分泌を促す働きがあるため、朝のコーヒーで、その日の活動の準備体制が迅速に整うことになる。

 

 ところで、空腹時にコーヒーを飲むと、からだに害があるのだろうか。この点に関しては明確な証拠が存在しない。しかし、食事どき、あるいは食後にコーヒーを飲むと、カフェインの吸収もその覚醒作用も緩和されると考えられるという。

 

5.What about a strong tea or fizzy cola?:カフェインの強い紅茶・コーラは?

 カフェインは紅茶、コーラなどにも含まれている。しかし、一般に、これらの飲み物にはカフェイン以外の植物由来の化学成分も含まれているため、コーヒーを飲んだときとは違った覚醒作用を示すことが多い。。Coffee

 結局のところ、摂り方を間違えさえしなければ、カフェインは確かに役に立つ成分だ。しかし、魔法の妙薬ではない。カフェインからエネルギーや元気をもらえると思ったら、それは見当違い。健康なからだを維持するためには、たっぷりの食事と、たっぷりの水と、たっぷりの睡眠が欠かせないのだ。

 

(なお、上記の内容の大半は、Newcastle大学の Dr Emma Beckettの執筆原稿に基づいてまとめたもの。)

 

おわりに:午後の三時を過ぎたら、紅茶・コーヒーは控えた方が良い (Avoid caffeine after 3 pm.)。とくに、午後、喫茶店で友だちと待ち合わせたときなど、気づかないうちに紅茶・コーヒーを飲みすぎてしまいがちだ。ご注意あれ。

      (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie