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自然保護区:野生生物にとって実質的なプラス効果があるのか?(BBC-Science, Apr 21, 2022)

A wading ruff (c) M Saranpaa

 どんな事業プロジェクトであれ、それに携わった人が、やがて現役から退くと、プロジェクトの立上げ当初の崇高な理念も情熱も薄れて、お役所仕事 (bureaucratic tasks)に落ちぶれていくのが世の常。

 

 野生生物の自然保護計画も、そんなプロジェクトの中の一つだ。環境・自然保護予算がつくと、当局は、うわべだけの (ostensibly)保護区の確保・設定に権力をかざして走るが、その後、実際に、自然保護区がどれだけ野生の動植物の保全と繁殖に役立っているのかについては、ほとんど無関心。

 

 Exter大学の Dr Hannh Wauchopeらの研究グループが、世界68ヶ国の自然保護区1,500箇所について調べ、その実態を明らかにした。(研究結果の詳細は「Nature」に発表。)

 結論から言って、多くの自然保護区は、『あっても、なくても、大して変わらないような状態』、つまりは、野生生物の生息環境の改善につながっていなかった。Sheep in an area of outstanding natural beauty

 Dr Wauchopeらがとくに注目したのは、湿地 (wetlands)と そこに生息する水鳥(waterbirds)だった。保護区の設定前と設定後の水鳥の生息個体数、保護区域内と保護区区域外の生息個体数のそれぞれを比較すると、いずれにも、差が認められなかったのだ。

 

 どうやら、野生生物の保護プロジェクトでは、保護区の広さだけに目が向けられ、どのように管理するのかについては置き去り(あるいは、おざなり)にされている

ようだ。

 

 UNによると、地球上の約100万種の動植物が絶滅の危機に曝されているという。このため、世界の主要国は、2030年までに地上の30%を自然保護区に設定することを目標にしている。

 

 しかし、専門家は、その姿勢に疑問を投げかける。単に自然保護区の線引き (drawing lines on a map)は、自然環境に生息する動植物にとって何の役にも立たず、生物多様性も維持できないと訴える。

 

おわりに:では、どうすればよいか。自然あるいは自然保護については、抜本的な意識改革が必要だ。とにかく、「情熱」に欠ける。

               (写真は添付のBBC-Newから引用)

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