歯磨きは何のために:何分 磨けばいいの? (RTE-News, Oct 27, 2021)
歯科医の診察・治療台に仰向けに寝かされて、キーンキーンと歯が削られるのは、大変な苦痛だ。しかし、それもこれも、正しい歯磨きを怠った罰だと覚悟を決めなければならない。
以下は、Birmingham大学の Dr Josefine Hirschfeldが「The Conversation」に発表した研究論文の抄録版。
1.dental plaque:歯垢
歯と歯との隙間や歯と歯ぐき (gum)との境は、粘っこい (sticky)歯垢 (plaque)が たまりやすい場所だ。歯垢は「bacteria, fangi, virus(細菌、菌類、ウイルス)」の巣窟(そうくつ)で、「microbial biofilm (微生物バイオフィルム)」とも呼ばれる。
歯垢が積もり積もると免疫反応 (immune response)が活性化されて、「炎症(inflammation)」や「gingivitis (歯肉炎)」を引き起こす。炎症の多くは、痛みを伴わないが、やがて、歯磨きの際に出血したり、口臭 (bad breath)の原因となる。歯垢を放っておくと、虫歯 (tooth decay)になってしまうのだ。
2.proper brushing technique:正しい歯の磨き方 (修正バス法)
歯垢(プラーク)は歯磨きしないと除去できない。歯磨き (tooth brushing)の仕方にはたくさんの方法が提案されているが、世界中の「Dental Associations (歯科医師会)」で最も推奨されている方法は、「The modied Bass techniqe (修正バス法)」だ。これに基づく歯磨きとは、
・歯ブラシに少量のペースト (toothpasetes)を載せたら、それを45度の角度で歯ぐきの境に沿って当てる。
・歯の1本ずつ(あるいは2、3本をめやすに)、ゆっくりと小さな円を描くように歯ブラシを小刻みに動かす。
・この歯ブラシの円運動 (circular brushing movement)を終えたら、歯ブラシを
歯ぐきから歯の先端になぞって、はねる (flick it up or down)。
・すべての歯の表側、裏側を同じように磨く。
・その後、舌の表面を軽く歯ブラシでなで上げて、歯磨きを締めくくる。
3.effective brushing:効果的な歯磨き
・歯磨き時間:少なくとも2分間はかけること。できれば3-4分間が望ましい。歯ブラシの届きにくい箇所の歯垢(プラーク)も削ぎ落とされるチャンスが高くなるためだ。
・歯磨きの回数:Dr Hirschfeldは 1日 1回で十分とする。(しかし、これは食生活によって違うと考えられる。ちなみに筆者は食後すぐ歯磨きすることにしている。)
・理想的な歯ブラシ:ヘッドが小さく、やわらかめのブラシがベスト。なお、歯ブラシは1ヶ月ごとに新品に交換する。(月初めに交換することが望ましい。)
なお、硬めのブラシを使うと歯の表面のエナメル質と歯ぐきを傷つける恐れがある。
・ペースト︰タバコのヤニ取り歯磨き粉などの「abrasive toothpaste (摩耗性ペースト)」は、汚れがとれるように見えるが、歯を痛めるリスクが高いので使わない。
・磨く力:力づくでゴシゴシと歯ブラシをかけないこと。あくまで歯ブラシは優しくもち(鉛筆をもつように)、時間に余裕をとって丁寧に。
・コカ・コーラの飲み過ぎに注意:酸性炭酸飲料 (acidic fizzy drinks)(コカ・コーラなど)の飲み過ぎは、歯を弱くするだけ。ほどほどに。
4.flossing and interdental brushing:デンタル・フロス、歯間ブラシの併用
歯ブラシだけでは、歯と歯の隙間に こびりついた歯垢(プラーク)を掻き出すのは難しいもの。デンタル・フロスあるいは歯間ブラシを併用すると、その除去率は格段に上がる。
おわりに:食事を楽しみ、十分な栄養をとるために欠かせない健康な歯。その大事な歯を虫歯から守るためには、歯磨きを「面倒だ、おっくうだ」などと言ってはいけない。また「他人に言われなくとも、歯磨きぐらいは自分でできる」と過信していると、とんでもない結果が待ちうける。何が正しいかは、自分で確かめること。
(写真は添付のRTE Newsから引用)