冷たいシャワー:昔、懲罰・拷問 / 今は健康増進! (RTE-News, Oct 4, 2021)
「冷や水を浴びせる (Be immersed in cold water)」とは、ずいぶんと意地の悪い ことわざだ。やる気を出した人の意欲が、台無しなる所業だ。
しかし、19世紀初期 (江戸時代後期)、UKでは、これが「懲らしめ」に使われた。精神病棟、刑務所で暴れる精神病患者や囚人に対して、興奮を鎮めるためと称し、その実、恐ろしい思いをさせて、おとなしく服従させるために、冷たい水を容赦なく浴びせた。
冷水は1時間浴びせると、一時中断。その後、暖を取らせて、さらに、その拷問のような医療・更生行為(?)を 5分間続けたという。(これでは、どんな屈強な男でも、死んでしまったに違いない。)
想像するだけで、身の毛がよだつ残酷な仕打ちだった。
時代が変わって現代になると、短時間の冷水シャワーには、健康増進効果があることが明らかになってきた。
1.Stop people from getting ill:病気に罹りにくくなる
冷水シャワーに関する臨床試験がオランダで実施された。それは、被験者3,000人以上が参加し、3ヶ月に及んだ大規模臨床試験だった。
その結果、毎日、冷水シャワーを浴びると、病気で欠勤する割合が29%も減少することが分かった。ただし、シャワーを浴びる時間を、一回につき30秒、60秒、90秒と変えても、その効果に差は認められなかった。
なお、チェコの研究グループも、同様の結果を発表している。なぜ、冷水を浴びると病気に罹りにくくなるのか、その原因は十分に解明されていないが、免疫システムが促進されるためではないかと考えられている。
2.Activate the sympathetic nervous system:交感神経系を活性化させる
人には、無条件反射 (automatic physiological reaction)で危険、ストレス、恐怖から逃れる仕組みが備わっている。これを支配するのが交感神経系 (sympathetic nervous system)だ。冷水を浴びると、この交感神経系が活性化され、「ノルアドレナリン(noradrenaline)」ホルモンの分泌を促して、心拍数・血圧が上昇し、健康増進につながるという。
3.Improve blood circulation:血液循環をよくする
皮膚が冷たい水で冷やされると、いったんは、皮膚表面の血のめぐりはわるくなる。しかし、シャワーが止まると、皮膚はもとの体温に戻ろうとして血液の循環を高める。
また、「運動した後に、冷水シャワーを浴びる」研究によると、4週間後には、筋肉に流れる血液量が増えたという。
4.Lose weight:減量効果
冷水シャワーによって「新陳代謝 (metabolism)」が350%増加したとする研究結果が報告されている。この値が高いことは、食べたものが効率よくエネルギーに変換されている証拠だ。
5.Mental health benefits:メンタルヘルス効果
冷水シャワーを浴びると「注意力 (menatal atertness)」が高まる。とくに、高齢者が顔面・首にシャワーを浴びると、「brain function (脳機能)」が改善する。
6.Relieve symptomes of depression:うつの症状を緩和する
冷水シャワーが皮膚の「冷感受容体 (cold receptors)」を刺激すると、「末梢神経末(peripheral nerve endings)」から大量の電気信号が脳に送られる。これが、抗うつ効果(anti-depressive effect)」として働くのだ。
7.Some risks to a cold shower:冷水シャワーの注意点
心臓疾患 (heart diseases)のある人は、冷水シャワーを浴びると
・heart attack:心臓発作
・heart rhythm irregularities (arrhythmia) :不整脈
を起こすリスクがある。
おわりに:いくら からだに良いからと言って、急に冷たいシャワーを浴びたり、冷たいプールや湖に飛び込むのは危険。それは、燃え盛るストーブに水をかけるようなものだ。冷水シャワーを浴びるときは、はじめに、手足にシャワーをかけ、それから徐々に腕、肩、頭と進めるのが無難だ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)