生臭い、うさん臭いと言うなかれ:魚のタンパク質の威力を見よ! (RTE-News, Oct 29, 2021)
「ハンバーグ、唐揚げ、ピザは大好きだが、生臭い魚は嫌いだ」。子どもばかりか、大人まで、こんなふうに魚を毛嫌いする。
確かに、サンマやイワシなどは、焼いても冷めると「fishy smell (生臭く)」なる。
英語の「fishy」には「うさん臭い」と言う意味もあり、これまで日本料理あるいは「sashimi」を除くと、「fish (魚)」は、必ずしも欧米人にとってプラスのイメージとはならなかった。
しかし、魚は「essential amino acids (必須アミノ酸)」9種の全てを含む「完全タンパク質 (complete protein)」源だ。アミノ酸の他にもオメガ 3、脂肪酸、ビタミン・ミネラルが豊富。
なお、「The Dietary Reference Intake report for macronutrients」によると、デスクワークに従事する成人 (sedantary adults) に必要とされるタンパク質量 (protein mass)は体重 1kg当たり 0.8gとされる。したがって、1日当たりに必要な量は
男性 (体重70kg):56g
女性(体重58kg):46g
であり、肉体労働 (active adults)に従事する人は、デスクワークの人の 18− 25倍(体重1kg当たり 14− 20g)のタンパク質の摂取が必要とされる。
一般に、魚や甲殻類 (カニ、エビ、貝など)に含まれるタンパク質は、100g当たりおよそ 15− 25g とされ、魚の種類によって、次のように異なる。
・Pollack:スケトウダラ, 17.4g/100g
・Cod:マダラ, 17.5g/100g
・Salmon:サケ, 20.4g/100g
・Halibut:オヒョウ, 21.5g/100g
・Lobster:ロブスター, 22.1g/100g
・Shrimp:エビ, 24.0g/100g
・Tuna:マグロ, 28.0g/100g
なお、Norwayの「epidemiological study (疫学的な研究)」によると、「lean fish (タラ、コダラなど脂肪分の少ない魚)」を少なくとも週に一度以上食べるなら、
・metabolic score (代謝スコア)が減少する
・triglyceride content (トリグリセリド [中性脂肪])が下がる
・high-density lipoprotein cholesterol (高密度リポタンパク質 [HDLコレステロール])が上がる
など、良いことづくめ。
魚のタンパク質は、髪の毛、皮膚、爪、筋肉、骨の形成とその健康に欠かせないものだ。それは、
・減量と肥満防止 (Irelandでは男性の68%、女性の 34%が過体重か肥満)
・認知機能を高め
・心臓の強化
にも役立つと言う。
また、最近、注目されているのは、市場価格の低い「blue whiting (ブタスダラ)などの魚や、これまでは産業廃棄物として処分されてきた加工処理・調理の際に大量に発生する漁業「by-prducts (副産物)」。
これらの漁業廃棄物から高純度の「protein (タンパク質)」を抽出し、サプリメントすなわち機能性食品 (functional foods)の素材として活用する方法だ。グローバル・マーケットの流通規模は、2030年までに €250billion (約3,300億円)になると見込まれている。
これまで捨てられていたものを有効に活用できるならば、環境負荷の軽減にも、Ielandの経済の発展にも大いに貢献できるのでは、と期待されている。
おわりに:魚のタンパク質は肉に比べて、高品質で、消化性が高い。とりわけ、秋の秋刀魚(サンマ)は、栄養価も味も格別だ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)