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休廃止鉱山の重金属汚染水:河川を汚し、自然環境を破壊する! (BBC-News, Aug 20, 2021)

old copper mine at Parys Mountain on Anglesey, with spoil heaps stained different colours by the metal ores in the rocks

 Walesは Britain島の西部に位置する山あいの地だ。かって、そのWalesには、多くの炭鉱・金属鉱山があった。

 地下資源を採掘すると、地下に巨大な空間ができる。また、地上に掘り出した鉱石から品質の高いものだけを選び出す作業が必要になる。品質の劣るものや石ころ・岩石は「ズリ (waste or debris)」として、採鉱場の近くに捨てられ「spoil heaps (ズリ山)」ができる。

 

 近年は、異常気象によって街中(まちなか)の路上さえ冠水し、氾濫した川の水が住宅地に押し寄せて、何もかも水浸(びた)しになる災害が続く。

 休廃止鉱山あるいはその近くのズリ山とて、これに集中豪雨が降らないはずはない。豪雨は休廃止鉱山の坑内に流入し、ズリ山には、斜面が崩れるほど雨がたたきつける。

 

 その結果、坑道やズリ山から大量の重金属汚染水が染み出しては、河川に流れ、海へと注ぐ。カドミウム Cd、鉛 Pb、水銀 Hg、硫黄 S、ヒ素 Asなどで汚染された川の水は、そこに生息する昆虫・貝類の息の根をとめ、魚が住めない場所となる。

 

 鉱山から滲出する毒水は、原子力発電所の使用済み核燃料・核ゴミと同じようなものだ。事業を終えても、未来永劫、永遠と続く環境保全対策が欠かせない。その経費は膨大だ。

 

 Walesの北西部「Ceredigion (ケレディジョン)」の村「Pontrhydfedigaid (ポントフィドフェディゲイド)」の近くに、休廃止鉱山「Abbey Consols Metal Mine」がある。1910年代まで鉛 (lead)を採掘していた鉱山跡だ。ここから流れ出る坑排水は、近くの「River Teifi (タイフィー川)」に流れ込み、下流域の川の色を約15kmにわたって不気味に変色させている。Contractors have been on site at the old Abbey Consols mine near Pontrhydfendigaid in Ceredigion where work starts next month on a £1.2million scheme to stop metal pollution from the mine getting into the nearby River Teifi

 Wales保守党議員 Ms Janet Finch Saunders は非難する。『自治政府(労働党政権)は、20年前から、この環境問題を知りながら、ほとんど「是正措置 (remedial action)」をとってこなかった』、と。

 

 なお、Walesには、今なお、河川を汚染し続ける休廃止鉱山が1,300以上もあり、坑排水で汚れた河川はおよそ 67、その総延長は約600km以上に及ぶ。

 

 Wales自治政府の監督・取締機関「Natural Resources Wales (ウェールズ地下資源)」が、危険サイトとしてレッド・リストに挙げている休廃止鉱山のほとんどは、100年以上にわたって、なにも環境保全対策がとられて来なかったという。

 Walesの北部の島「Anglesey (アングルシー島)」の Pary Mountain (パリーズ山)の旧銅山から Irish Sea (アイリッシュ海)に流れ出る重金属汚染水だけでも、年間約 231トンと推定される。

 今後、Walesに点在する全ての休廃止鉱山から流出する有害な坑排水を処理し、自然環境を守るためには、£282 (約429億円)の経費が必要と言う。

 

おわりに:科学と資金は、人類の平和と人類の健康、自然環境の保全のために優先的に使うべきであり、決して、この宇宙のいっときの権力者 (政治家、財閥・経済界)のためだけのものではない。しかし、ともすれば、「対費用効果 (cost effective)」重視の意見が、正当な少数意見をねじ伏せてしまいがちだ。

      (写真は添付のBBC Newsから引用)

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