火星の「ニキビ」まで分かる!:EASAの高解像立体カメラCaSSIS (BBC-Science, Feb 13, 2021)
「欧州宇宙機関 ESA (The European Space Agency)」が2016年に打ち上げた火星探査機「Exsomars Trace Gas Orbiter」は、2017年に火星の衛星軌道に突入し、現在、火星の大気・土壌成分、地形の調査を順調に進めている。
この度、その探査機に搭載された高解像カメラの撮影記録の一部が公開された。
カメラは「CaSSIS (The Colour and Tereo Surface Imaging System)」。SwissのBern (ベルン)大学の Nicholas Thoms教授が中心になって開発した高感度・高解像度立体カメラ。特殊な撮影機構を備え、鮮明なカラーの立体画像が撮れるように設計されている。
今の、この瞬間も、火星上空を、およそ 3km/s (時速11,000km)のスピードで飛行を続けながら、膨大な地形画像のファイルを作成中だ。その「exposure time (露光時間)」は1.5ミリ秒。約400km離れた場所から 1ピクセル当たり 4.5mの高解像度を誇る。
火星の南極付近の「Sisyphi Tholus (シシフィ・ソーラス)」では二酸化炭素の氷と霜が確認され、その一帯にはクラックが走っていた。
また「Mowrth Vallis (マゥース谷)」、「Mani Crater (モニ・クレーター)」が、まるで目の前にあるように、くっきりと撮らえられている。それに、火星表面には多くの「dust devil (塵旋風)」の痕跡が残されてることも明らかになった。
驚いたことに、「Juventae Chasma (ジュヴェンテ・チャスマ)」の丘の上では「堆積層 (sedimentary beds)」が見つかった。
なお、この 2月18日、NASAの火星探査機「Mars 2020 Perseverance rover」がJezero Crater (ジェゼロ・クレーター)」に着陸し、生命の痕跡を探る任務 (mission)に当たる予定。
おわりに:多くの政治家・企業家にとって、火星の表面を「虫めがね」で覗いたところで、大して面白くもなければ、金儲(もう)けにも、利益にもならないだろう。しかし、多くの純粋な心の持ち主にとっては「不思議な興奮」を与えるものだ。果てしなく広く、そして想像を絶するエネルギーと未知に溢れた宇宙に、ほんのわずかながら触れた感激で、心がいっぱいなる。それこそが、知の探求、科学の発展を推し進める原動力だ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)