準惑星ケレス:クレーターに輝く光点のなぞが明かされる (BBC-Science & Environment, December 9, 2015)
火星 (Mars) と木星 (Jupiter) との間にある小惑星帯 (asteroid belt) の宇宙空間で、太陽の周りを回る準惑星ケレス (dwarf planet Ceres)。2013年、そのケレスから水蒸気が噴出していることを発見したのは、ハーシェル宇宙望遠鏡(Herschel space telescope) を覗いていた天文学者だ。
そして、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の無人探査機 Dawn が、この3 月にケレスの周回軌道に入り、その後、次々とケレス地表面の映像写真を地球に送って来た。
その中で、とくに際立って注目されたのは、ケレスの北半球 (northern hemisphere) に点在するクレーターの一つ「オッカトル (Occator)」の底に光る「超明るいくぼみ (super-bright depressions)」。そのスポットの光線の反射率 (reflection) は0.25、すなわち光線の 25% を反射し、明るく輝く中心部では 50~60% の光線を反射している。しかし、クレーター周辺部の光線反射率は 0.09 と暗い。
オッカトルは、ケレス地表面に形成されて間もないクレーターだ。3月からこれまで、科学者は、このオッカトルを入念に調査し、反射率の高い物質について、一つの結論に達した。
ケレスの地表を覆う岩石の下には、氷と塩の層が存在している。隕石の衝突によって、地表がクレーター状にえぐられると、地下の氷結した氷が露出する。すると氷はすぐに「昇華 (sublimation)」を開始し、水蒸気が地表に放出される。このとき、氷の粒やチリも上空に舞い上がり、大気中にモヤ(haze) がつくられる。そのモヤは、太陽がケレスを照らす「日中 (day times)」に、無人探査機 Dawn によって観測されている。
オッカトルの底に現われた氷は、今後、時間の経過とともに昇華がさらに進むため、反射する光の強さも、次第に弱まって行くと考えられている。やがてクレーターの底に残るのは、塩だけとなるはずだ。
なお、ケレスの地表面からは、「エプサム塩 (Epsom salt)」すなわち「水和硫酸マグネシウム (hydrated magnesium sulphate)」や、粘土鉱物の一種の「アンモニアを結晶中に取り込んだフィロケイ酸塩 (ammoniated phyllosilicates)」が検出されている。
以上の詳細な研究内容は、科学雑誌「Nature」の最新号に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)