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サメにとってサーファーは目障り、それとも食ってみたい生き物? (BBC-Science, October 14, 2020)

A great white shark swimming near a school of fish

 このところ、日本では、クマに襲われて死亡する事件が相次ぐ。クマが危険を冒してまで人家に近づき、人間を襲う理由は何か。単に、「力の強さ」を見せつけたいのか、それとも、「目障りだ」と腹を立てて突進するのか。皆目、見当がつかない。

 

 ところが、南半球のオーストラリア、それもWest Australia (西オーストラリア州)の海岸では、主にサーファーを狙ったサメの襲撃事件が、今年になって 21件発生し、7名 (内 1名は素潜り)が死亡している。

 

 10月9日(金)にも、Wylie Bay (ワイリー・ベイ)でサーフィンを楽しんでいたAndrew Sharpe (52歳)がサメに襲われ、行方不明になった。

 その瞬間を目撃した仲間の話によると、サメは Sharpe氏のボードに体当りし、その体を水の中に引きずり込んだという。知らせを受けて駆けつけた警察のダイバーが、現場で見つけたのは、サメにズタズタに切り裂かれたウェット・スーツだった。

 

 なぜ、サメは人間を襲うのか。Macquarie大学の Nathan Hart准教授によると、考えられる理由は次の 4点。

 

・lashing out at a threat:驚いて攻撃

・protecting teritorry:縄張りを守るため

・confusing a human with food:人間を獲物と間違えた

・feeling their way with their mouth:口の向くままに咬み付いた

 

 ボードの上のサーファーは「fat seals (脂身たっぷりのアザラシ)」に見えて、サメにとっては魅力的かも知れない。しかし、それだけが人間を襲う理由だとすれば、サメによる襲撃事件はもっと多いはずだと専門家は考える。

 

 結局、Dr Hartの結論は「確かな理由は分からない,。サメの「behavioural traits(行動特性)」や生態がよく分かっていないためだ。

 

 なお、今年は「La Nina (ラニーニャ現象)」が発生した。この影響を受けて、オーストラリア西部では雨の日が続いた。大雨が降ると、養分に富んだ川の水が海に流れる。この結果、河口付近や海岸近くの冷たく濁った海域に「魚の群れ (shoal of fish)」が集まり、これを追ってサメもやって来るというのだ。

 

 また、サーファーは、大きな波をねらって沖に出るのが普通だ。これが、また、死亡リスクを高めることにつながっている。サメに腕や脚を咬み切られて出血多量になっても、手当が遅れてしまうという。

 さらに、サーファーの「怖いもの見たさ」の奇妙な心理も、サメの襲撃を招いている要因だ。「great whites (ホオジロザメ)」が近くにやって来ても、怖いと思う反面、近くで見ることができた自分に、「privileged (特権意識)」を感じて油断してしまう。

 

おわりに:クマもサメも同じ。人間の心は通じない。『君子危うきに近寄らず』という。危険なもの、危険な人間、危険な生物には近寄らないことが一番。

   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com