ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

「007 Gold Finger」のボディ・ラメ :水質汚染の元凶だった! (BBC-Science, October 14, 2020)

Festival goers

 「007シリーズ」には、ギャング、ならず者同士が、やたらと銃で殺し合い、ドタバタ騒ぎが、これでもか、これでもかと続く、残酷・人殺しを売り物にした低俗のUSアクション映画とは一味違うものがあった。

 なかでも、ショーン・コネリーが演じた初代 James Bondの「007 Gold Finger」(1965年公開)は人気が高かった。なにしろ、その映画のオープニング映像に、観客は、皆、度肝(どきも)を抜かれた。美女の体はゴールド一色のラメ (glitter)で塗りたくられていたのだ。

 

 あれから数十年が経って、ネイル・アートが流行し、手足の爪あるいはまぶたに施す色あざやかなラメ装飾が、ごく普通の「オシャレ」になった。

Eye make-up

 キラキラと輝くラメ (glitter)には、

 

・プラスチック・コアに「polyester PET film」を使い、これをアルミと薄いプラスチック膜でコーテイングした従来品 (traditional glitter)

・コアに生分解性セルロースを使った環境配慮型 (biodegradable alternatives)

・化粧品ラメの主流となった「mica glitter (マイカ・ラメ)」

 

などがある。近年、この化粧品ラメが河川や海洋を汚染し、海洋生物の生存を脅かしていることが明らかにされると、研究者から、ラメの全面的な販売・使用禁止を求める声が高まって来た。

 

 このような背景にあって、Anglia Ruskin大学の Dr Dannielle Greenらの研究グループは、England東部 Norfolkの「The River Glaven (グラヴェン川)」から採取した水、川底の堆積物、水生植物で研究室にミニチュア池をつくり、これに市販の 6種のラメを入れて、水生植物や生態系に与える影響を観察した。(研究の詳細は科学雑誌「The Journal of Hazardous Materials」に発表。)

 

 すると、生分解性セルロース主体のラメを含め、どのラメ (glitter)の場合も、「非在来性カタツムリ (non-native snail)」だけが増えて、浮遊性の水草「duckweed (コウキクサ)」や「microscopic algae (微細藻類)」が減少した。

 これで、河川がラメで汚染されると、「food web (食物網)」すなわり生態系の食物連鎖が壊れてしまうことが確実となった。

 

 メーキャップの際は、その使用量が少ないため、だれでも、まさか、それが環境破壊、水質汚染、海洋汚染につながるとは、考えもしない。しかし、それが海洋のマイクロ・プラスチック汚染の片棒を担いでいることはまぎれもない事実だ。

 Dr Greenによると、メイクを落とすときは、洗面台で洗い流すのではなく、専用シートで拭い取って、これをゴミ箱に捨てること。

 

おわりに:キラキラ、ピカピカは「お星さま」だけにしておいた方がいい。自然は散々に痛めつけられて疲弊し、ゴミの分解能が弱っている。それに、下水処理場ではマイクロ・プラスチックを回収し、これを除去することなどできないのだ。

     (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com