新種のダニがUKに続々上陸:河原や森の散策に注意! (BBC-Health, July 31, 2020)
ダニは「壁蝨」とも「蟎」とも書く。人間の生き血を吸う虫だ。街のダニとは「まともに働かずに、もっぱら、オレオレ詐欺や泥棒・恐喝を生業(なりわい)とし、他人の金を不正に、せしめて生きる悪人」のことだ。
イエダニ、マダニ、街ダニのいずれにせよ、ダニはダニだ。気をつけないと、とんでもない被害を受ける。
かって農作業中にダニに刺されて、高熱を発する「ツツガムシ病(Scrub typhus)」は、ながらく原因が分からず、風土病と囁かれたこともあったという。ダニは色々な病気を広げる厄介もの。
ツツガムシ病の他にも「Babesiosis (バベシア症)」、「Tick-born eccephalitis (ダニ媒介性脳炎TBE)」、「Lyme disease (ライム病)」などが知られている。これまで、UKで、ダニに刺されて感染する病気と言えば、主に「ライム病」だった。
なお、TBEはアジア、ヨーロッパ、スカンジナビア半島の感染にとどまっていたが、昨年の2019年、ついにUKに上陸。Hampshireの近くで TBSの発症患者が現われた。ただし、ダニに刺されて TBSに感染しても、約 2/3は症状が現われない。しかし、ときに、インフルエンザによく似た初期症状 (発熱、頭痛、疲労感)を示すことがあり、治療が遅れると、重症化して「meningitis (髄膜炎)」、「encephaliti (脳炎)」、「paralysis (麻痺)」などを起こす恐ろしい病気だ。
一方、「Babesiosis (バベシア症)」は、ダニが人の赤血球 (red blood cells)にバベシア原虫を感染させて発症する病気だ。UKの Devonで感染者 2名が発生。また、この感染病は、牧牛に寄生したダニが、その原虫を人に移すことで発症を拡大するとされ、USで多発している。
このバベシア病もTBEと同様、感染してもほとんどの人には症状が現われない。けれども、免疫力が低下している人は、インフルエンザによく似た以下の症状を示すことがある。
・fever:発熱
・chills:寒気
・muscle ache:筋肉痛
・fatigue:疲労感
・jaundice:黄疸
イングランド公衆衛生局 PHE (Public Health England) は、ダニに刺されないための注意点として
・森や林の中では歩道から逸れない。草丈の長い茂みには近づかないこと。
・野外にあっては、袖の長いシャツにズボンを履いて、できるだけ肌を露出しない。
・駆虫剤DEET入りの虫除けを使う。
・野外を歩き回る途中、あるいは帰宅後、ダニに刺された跡がないかチェックする。
・ダニに刺されたら、できるだけ早く毛抜きまたは専用リムーバーでダニを引き抜く。
・体調に異常を感じたら、すぐに専門医の診断を受ける。その際、ダニに刺されたことを告げること。
おわりに:秋のよく晴れた日など、河原や芝生の上で寝転ぶのは気持ちが良い。しかし、見知らぬ土地で「寝転んだり」、「日光浴」に興じるのは危険だ。そこには、必ずしも人間に無害で好意的な生物が住んでいるとは限らないからだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)