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DNA変異自在の「恐ろしい奴」マラリア原虫:東南アジアを制覇! (BBC-Health, July 23, 2019)

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 「恐ろしい奴 (scary beast)」が東南アジアに現われた。タイ、ベトナムラオスカンボジアに海外旅行を計画している人は要注意だ。
 これまでの薬がまったく効かないマラリア感染者が出現し、医療関係者を慌てさせている。

「malaria (マラリア)」はアフリカ大陸の病気だと思ってはいけない。過去においては、ヨーロッパ、中国、アメリカ大陸、日本でも感染者が続出したことがある。
 その英語名「malaria」は、この病気をイタリア人が「mal' aria [bad airの意]」と呼んだことに由来する。18世紀、イタリア人はジメジメした湿地の空気から病気が感染すると信じた。そこで、イタリア人の多くは、湿地帯を避け、高台の山地に集落を築いたと言われる。

 しかし、その後、この病気の正体は、ハマダラカが媒介する単細胞生物マラリア原虫「Plasmodium (プラスモジウム)」と判明。特効薬「quinine (キニーネ)」も開発された。

 ところが、マラリア原虫はしたたかだ。その遺伝子を書き換えて、薬剤耐性を強化させ、次々と人間のつくり出す特効薬をくぐり抜けて来た。
 1980年代後半には、「chloroquine (クロロキン)」に耐性を持ったマラリア原虫がアフリカ熱帯地域に蔓延(はびこ)り、数百万人の命を奪った。

 マラリアに感染すると、高熱を出して大量の汗をかく。熱が引けたと思うと、今度は寒気がして震えが止まらなくなる。この症状を繰り返すことが多いという。
 治療を怠ると、「breathing problems (呼吸障害)」、「organ failure (臓器不全)」を発症し、死亡することもある。

 現在、マラリアの「first choice drugs (第一選択薬)」として、一般に、「artemisinin (アルテミシニン)」と「piperaquine (ピペラキン)」が処方される。
 ところが、2013年、カンボジアで感染したマラリア患者から、このどちらの特効薬にも耐性をもったマラリア原虫が見つかった。

 さらに、「The Wellcome Sanger Institute」の Dr Roberto Amatoらの研究グループが、東南アジア一帯のマラリア感染者の血液サンプルを調べた結果、カンボジア全土に留まらず、その周辺国のラオス、タイ、ベトナムまで、耐性原虫の感染が拡大していることが確認された。(研究内容の詳細は、医学雑誌「The Lancet Infectious Diseases」に発表。)

 毎年、世界で2億1,900万人がマラリアに感染し、435,000人が死亡している。死亡者の多くは、5歳以下の子どもだ。
 Colin Sutherland教授は、このマラリア原虫を「scary beast (恐ろしい奴)」と呼ぶ。「DNA mutations (DNA変異)」を繰り返し、特効薬に対してドンドン強くなる強敵だ。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

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