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 世界58,000の巨大ダム:川の流れをせき止め、海面上昇にもブレーキ! (BBC-Sci & Env, August 19, 2020)

 

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 海面上昇が続いている。主な原因は地球温暖化が進んで、グリーランドはじめ世界中の高山の氷河や北極・南極の氷が溶け始めたこと、それに太陽からの熱エネルギーによって海水が温められ、それが熱膨張したことにある。

 NASAの「Jet Propulsion Laboratory (ジェット推進研究所)」の Dr Thomas Frederikseらの研究グループが、科学雑誌「Nature」に発表した論文によると、1990年から2018年の118年間で、海面は18cm上昇した。すなわち、1年間で平均1.56mmの海面上昇率だった。

 ところが、1950年代から1975年にかけて、世界ではダムの建設ラッシュが始まる。

・Kariba Dam,  Zimbabwe

・Bratsk Dam,  Siberia

・Aswan High Dam,  Egypt

がその例だ。

 現在、世界では約 58,000の巨大ダムが存在するが、その多くの稼働年数は、たかだか60年ほどだ。

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 しかし、もし、これらの巨大ダムや貯水池 (reserbvoirs)が、当時、建設されなかっとしたら、海面は現在よりも、もっと上昇していたはずと、Dr Frederikseらは見る。

 過去30年間に限るならば、海面上昇率は、1年につき 3.35mm。過去10年間に限ると、その上昇率は 4.00mm/年となる。上昇率は確実に加速しているのだ。

 ところが、巨大ダム・貯水池の建設が着手されなかった場合には、1970年代以降の海面上昇率は、現在の上昇率の12%増になっていた可能性があると指摘。

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 なお、今年はじめ、ヨーロッパの海面上昇を食い止める策として、北海に超巨大ダムを建設する案が提出された。しかし、Dr Frederikseは、この案に疑問を投げかける。そのダムによって現在の海面上昇率を抑制できたとしても、せいぜい年間 0.8mmの程度、海面を低下させるだけ。世界の海面上昇率 4.00mm/年をゼロにするためには、超巨大ダムを5つ建設する必要がある。それは、とても不可能だ。

 それよりも、現実的で、安上がりな方法は、CO2を削減し、地球温暖化を少しでも遅らせることだと、Dr Frederikseは主張する。

 

おわりに:巨大なダムによって、海に流れる川の水量が制限され、結果的に海面上昇率が抑制される方向に働いた。そのことは、理解できる。ところが、ダムの建設には膨大な資源とエネルギーが消費され(CO2排出量の増)、同時に環境・生態系ならびに関係する諸外国の利水問題に多大な負の影響を与えたことも事実だ。ダムの利得を一面だけから見ては危険極まる。

           (写真は添付のBBC Newsから引用)

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