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アルプスの樹の驚くべき「病原菌」防御システム:その化学兵器! (BBC-Sci & Env, August 17, 2020)

Spruce trees and mountain (Image: Dr Marry Gillham Archive/Flickr)

 アルプス山岳地帯には、鬱蒼とした「Norway spruce (欧州トウヒ)」が茂る。しかし、近年、地球温暖化に伴って、「needle bladder rust (球果・葉サビ病)」が蔓延し、毎年、数千ヘクタールのトウヒが枯れる。

 その病原菌 (pathogen)は「クリソミクサ属真菌 (Clysomixa rhododendron」、英語では「European rhododendron rust (ヨーロッパ・ツツジ属 葉サビ病菌)」とも呼ばれる。

 これまで、生物界 (biological kingdome)では、4億年を超える進化の過程において、植物 (plants)と真菌 (fungus)との間で熾烈な戦いが繰り広げられて来た。植物が真菌に攻撃されたとき、植物はなんらかの対策を講じて、生き延びて来た可能性がある。

 そこで、「The Austrian Research Centre for Forests (オーストリア森林研究センター)」の Dr Trujillo Moyaらの研究グループは、サビ病に強く、幸運にも生き残ったトウヒを探し出し、その「resistantt clones (耐性クローン)」を抽出することに成功した。耐性クローンの遺伝子を分子レベルで調べると、トウヒの驚くべき防衛戦術が明らかになった。

Srpuce cone (Image: Metsakuusi/Flickr)

 「Norway spruce (欧州トウヒ)」は、葉を攻撃する真菌を察知した瞬間に、「強力かつ巧妙なタンパク質の化学兵器 (a complex artillery of proteins)」と、その真菌を特定し、狙いを定めるための「化学物質(chemical compounds)」を製造していたのだ。

 この一連の防衛体制は「hypersensitive defense response (過敏感防御反応)であり、真菌に感染後、1, 2週間で完成し、少なくとも 1ヶ月は続く。

 そして、真菌の攻撃を受けた葉だけを枯らし、真菌が樹全体に広がらないようにしていた。 

 Dr Moyaらは、この遺伝子レベルの発見を、今後のトウヒの「needle bladder rust (球果・葉サビ病)」対策に活用したい考えとか。

 

おわりに:さて、ひるがえって、「ヒト属 (Homo)」は進化の過程で、いったい何を学んだのだろう。同じ仲間を殺すための武器 (核爆弾、毒ガス、大陸間弾道ミサイル)をつくることぐらいか。いや、いや、人類は地球上に現われてまだ日が浅い。進化の途中なのかも知れない。

               (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com