緑茶(green tea)の効能:おなかの中の善玉菌が増え、大腸ガンリスクが下がる (RTE-News, Jan 3, 2023)

はじめて鉄砲を種子島に持ち込んだのは Portuguese。1543年のことだ。やがて、その鉄砲が戦国時代の戦(いくさ)のあり方を大きく変えることになる。
それから16年後の1559年の Portuguese。今度はヨーロッパにはじめて茶の葉を持ち込んだ。そのときの名称は「cha」だった。それは日本語の発音と同じだ。ところが茶葉の貿易に勤(いそ)しんだオランダ商人が中国福建省の方言「te」を「tee」と書き留めたため、英国人も茶葉を「tee」あるいは「tea」と呼ぶようになったという いきさつがある。
その茶「tea」が英語の文献にはじめて現われるのは1598年。エリザベス一世が即位(1558年)して40年後のことだった。その頃、日本では、すでに千利休が茶道を確立していた時代だ。つまり、それまで、UKでは「tea」なるものが、一般に知られていなかったことになる。
ところで、近年のバイオサイエンスの研究の発展によって、そのお茶、とくに緑茶には、疫病神を寄せ付けない、優れたハーブ効果があることが分かってきた。
1.Camellia Sinensis:カメリア・シネンシス
これがツバキ科ツバキ属の常緑樹「チャノキ」の学名。その茶葉の収穫・加工法などの違いによって「black, green, or white teas (紅茶、緑茶、白茶)」に分類される。しかし、どの種の茶葉にも「bioactive molecules (生理活性分子)」として知られている「ポリフェノール (polyphenoles)」が豊富に含まれている。
2.Polyphenoles:ポリフェノール類
ポリフェノールはフルーツ、野菜など多くの植物に含まれている化学物質であり、その種類の数は8,000を超える。代表的なものとしては
・flavonoides (フラボノイド)
・phenolic acid (フェノール酸)
・stilbene (スチルベン)
・lignans (リグナン)
・anthocyanin (アントシアニン)
・resveratrol (レスベラトロール)
・chatechines (カテキン)
が挙げられる。植物は、これらを生成することによって、
・harmful microbes:病原菌
・board damage:(昆虫による)食害
・damage caused by free radicals:(紫外線を受けて発生する)活性酸素による損傷
から身を守っているのだ。ところが、人間が、この「polyphnols (ポリフェノール)」を摂取すると
・cancer:ガン
・cardiovascular diseases:心血管疾患
・diabetes:糖尿病
・osteoporosis:骨粗鬆症
・aging:老化
の抑制効果があるという。

さて、茶葉と言っても「white or green teas」は、「oxidative fermentation (酸化発酵)」工程を経た「black tea」に比べて、「bioactibe moleculs (生理活性分子)」である天然 抗酸化物質 (natural antioxidants)の含有率が高い。しかし、この抗酸化物質は熱に弱いため、とくに緑茶を淹れるときは熱湯を避けて、60- 80℃のお湯が望ましい。
なお、茶葉の種類にかかわらず、1日 3杯のお茶を 3ヶ月以上飲み続けると、
・血圧 (systolic and diastolic blood bressures)
・空腹時血糖値 (fasting glucose leves in the blood)
・2型糖尿病 (type-2 diabetes)の発症リスク
・心血管疾患による死亡率
・心血管疾患の発症リスク
・脳卒中の発症リスク
を下げる効果が認められるという。
3.Catechins:カテキン
とくに、緑茶には「catechins (カテキン)」が豊富に含まれている。このカテキンはお茶の渋み成分であり、タンニンのことだ。緑茶の効能は、「catechins (カテキン)」の一種「Epigallocatechin-3-gallate (没食子酸エピガロカテキンEGCG」の働きによるものであり、これがおなかの中の「microbiome (腸内細菌叢)」の善玉菌
・Bifidobacterium:ビフィズス菌
・Lactobacillus:ラクトバチルス(乳酸菌)
の増殖を助ける。それは、まさにkefir (ケフィール)、yogurt (ヨーグルト)、sauerkraut (ザワークラウト)などの「fermented foods (発酵食品)」の働きと同じ。
その結果、消化・免疫機能が高まり、
・short chain fatty acids:短鎖脂肪酸
・acetate:酢酸塩
・butyrate:酪酸
などの「metabolites (代謝物質)」が増加するため、炎症抵抗力に優れた、丈夫な腸内細菌叢が形成されることになる。
その一方で、おなかの中の悪玉菌すなわち「potential pathogenic bacteria (潜在的病原菌)」の
・Bacillus cereus:セレウス菌
・Campylobacterjejuni:カンピロバクター
・Clostridium perfringens:ウェルシュ菌
・Escherchia coli:大腸菌
・Helicobacter pylori:ヘリコバクター・ピロリ
・Legionella pneumophilla:レジオネラ・ニューモフィラ
・Mycobacterium spp:マイコバクテリウム
の増殖を抑える効果がある。これらの細菌はいずれも
・colorectal cancer:大腸ガン
・inflammatory bowel diseases:炎症性腸疾患
・obesity:肥満
の発症リスクを高める要因として知られているものばかりだ。
おわりに:茶葉に病気の予防効果や整腸作用があるとはいえ、なにごとも過信は禁物。ただし、「お茶の効能」、「カテキンの働き」を知ってお茶を召し上がるのと、知らないでお茶をすするのとでは大違い。
(写真は添付のRTE Newsから引用)