高血圧の薬の飲み方:ほとんどの医者が間違っていた! (BBC-Health, October 23, 2019)
これだから、医者は信用できない。
ウイルス性のカゼの症状に、まったく効果のない抗生物質などの「抗菌薬(antibiotic drugs)」を、カゼで受診した全国の患者のおよそ3人に1人に対して処方し、医療点数を稼いでいた。これは「犯罪 (crime)」ではないと、医者は釈明(言い訳)するだろうが、少なくとも「sin (罪悪)」だ。医者の特権を利用して患者を欺(だま)し、不当な報酬を受けた上に、巨額の医療費をムダにしたからだ。
医者は、まがりなりにも科学 (science)、医療倫理 (medical ethics)、法律を勉学した人間だ。事(こと)、患者の健康・生命に関わる治療あるいはアドバイスに当たっては、確固たる「evidence (医学的な証拠)」と医者の「ethical standard (倫理規範)」に基づくものでなければならない。
ところが、患者に対する高血圧の薬の指導も、随分といい加減なものだった。少々非難のトーンを落とした物言いをするならば、明確な医学的根拠がないにもかかわらす、勝手に、薬を飲む時間を「朝だ」、「夜だ」と決めていたことになる。
適切に薬を飲みさえすれば、病気にならずに、また死なずに済んだのに、医者の指導が間違っていたため、どれだけの患者が命を落としたことか、計り知れない。
Vigo大学(Spain)のRamon Hermidaらの研究グループが医学雑誌「The European Heart Journal」に発表した研究結果は衝撃的なものだった。
高血圧の薬「antihyperpressure (降圧薬)」を、医者は、いとも簡単に患者に処方し、ほとんどの医者は、「朝、服用するように」と勧める。しかし、これは、全くの間違いであることが、大規模な臨床実験によって明らかにされたのだ。
Dr Hermidaらは、高血圧症患者19,084人の治療に当たって、2つのグループに分け、それぞれの患者に、降圧剤の服用時間を「at bedtime (就寝時)」と「upon waking (起床時)」に変えて薬を飲んでもらい、その効果を5年以上にわたって追跡調査した。
その結果、「at bedtime (就寝時)」に服用した患者は、「upon waking (起床時)」グループに比べて、以下の病気を発症して死亡するリスクが
・cardiovascular diseases (心血管疾患):56%減
・stroke (脳卒中) :49%減
・heart attack (心臓発作) :44%減
と大幅に下がることが証明されたのだ。
人の体は、体内時計 (biological clock)」すわわち「circadian rhythm (概日リズム)」に従ってホルモンの分泌が変化している。夜になって眠くなると、自然に血圧が下がる。
この体のリズムに同期 (synchronise)させた「chronotherapy (時間療法)」が極めて重要であることが分かったという。
ただし、The British Heart Foundation」のMs Vanessa Smithは、『現在、高血圧の治療中で、薬を朝に服用するように勧められている患者は、医者に「specific reasons (特別な理由)」があるかも知れないので、服用時間を相談するように』と慎重だ。
しかし、そんな理由があるとは、とても考えられない。たとえ、あったとしても、患者に対して、とっくに、その「特別な理由」を説明する義務があったはずだ。
なお、血圧の値については、「特別な注意」が必要。
1.それは安静時の値か:
血圧の値が「高い」「低い」、「上がった」「下がった」で一喜一憂するのは、ほとんど意味がない。測定する時間、測定時の高揚のレベルによって、値は大きく変化するからだ。起床時の安静な一時(ひととき)に、血圧値を測定し(5-6回)、その平均値をグラフに記録することを勧める。(健康管理の基本)
ただし、ここで「安静」とは
・頭で天空を支えるように背筋を伸ばし、肩の力を抜いて、正座あるいは椅子に座り、
・心静かに腹式呼吸を繰り返し、
・周りの気配を感じ、自然の音が耳にできるほど
・時間と心のどちらにも余裕・ゆとりのある状態だ。
時間に追われて慌ただしいときや、心が憤りの最中(さなか)にあるとき、仕事のことを考えているときなどは、「戦闘態勢時」の心臓の働きを測定しているようなものだ。
もちろん、病院で、急(せ)かされて測定しては、適正な値が出るはずがない。医者は、その高めの数値を根拠に、高血圧症と宣告し、降圧剤を処方する。挙げ句の果てに、間違った服用時間を患者に勧める。
高血圧と宣告された人は、もう一度、正確な血圧値を自分で測定し、なぜ、その値が高いのか、改善すべき点はないかについて、思いを巡らした方がいい。
2.血圧を高める「lifestyle factors (生活要因)」
次の5項目が血圧を高めるとされる。
・Drinking too much alcohol:お酒の飲み過ぎ
・Smoking:喫煙
・Being overweight:太り過ぎ
・Not doing enough exercise:運動不足
・Eating to much salt:塩分の摂り過ぎ
謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。
The Guardian: October 23, 2019
・Blood pressure drugs work far better if taken at night, study shows
参考:NHK News WEB, Oct 28, 2019
・医療機関 かぜ患者の30%余りに効果がない抗菌薬を処方
(写真は添付のBBC Newsから引用)